また、頬に涙が蔦りそうになる。
もしかしたら雨で洗い流されてくれないだろうか。
一方、中也くんは私の話を親身になって
聞いてくれて、ゆっくりと頷いた。
中也くんの優しさに嬉しい反面、
胸が苦しくなる。
迚も辛くて、切なくて。
自分でも気持ちを上手く言葉に出来ないのに…
治くんと直接話そうとしたら
頭が真っ白になりそうだ。
空を覆い尽くしていた雲の隙間から
光が差し込み始める。
暖かく眩しい光が顔を出す。
そう言って私は中也くんに手を振りながら進んだ。
治くんが居るであろう私達の新居へ帰った。
鍵を忘れてしまった為、
玄関の扉で治くんに声をかけた。
いくら声をかけても
中から声が聞こえないことに違和感を覚える。
仕方がなく私はドアノブに手を掛けた。
私は家に入って治くんを探した。
だけど、そのとき、治くんは家には居なかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。