何処か行く場所があるわけでもなくひたすら歩いた。
どうしてだろう、足に力が入らない。
焦って慣れない靴を履いてしまった為に
踵を靴擦れしてしまった。
どうしてこうなってしまったのだろう。
そんなことをひたすら考えていた。
確かに最近、私は焦っていた気がする。
治くんのために、私が出来ることはないのかって。
治くんに喜んでほしくて。
ポタポタ
雨は無慈悲にだんだんと大きな音を立てて降り始めた。私は傘を用意している筈もなく、
少し濡れてしまった。
雨とは別の濡れた原因に目を背けながら。
家に帰る気にもなれなかった。
私は少し落ち着くために
雨宿りをすることにした。
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雨は先程よりどしゃ降りとなっていった。
これからどうしようか、
そんなことを考えていた時だった。
そう言って中也くんは私に優しく笑いかけた。
そんな些細なことが嬉しくて
目から涙が溢れてしまいそうだ。
私は中也くんから逃げるようにまだ雨の止んでいない外を歩きだそうとした。
中也くんに心配かけたくない。
誰かに心配をかけると迷惑になってしまう。
中也くんは私の腕を掴んできた。
あまりの突然の出来事に躰が固まる。
実はね___
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。