第15話

🐼
2,639
2023/12/30 04:20


壬氏side





あなた
好奇心は猫を殺す……って知ってる?






聞いたこともない諺だったが、薬屋の顔色が一気に変わったのを見て、気づいてしまった。





『猫』とは、もしかして、薬屋猫猫のことを言っているのか?!



……だとしたら、暗に『これ以上介入したら命の保証はない』と脅されていることになる。





薬屋はまだ名を教えていなかったはずだ。




なのに、何故…?!何故知っている?!






壬氏
ッ__!、何が医者だ!?
壬氏
こちらに危害を加える気か…?!
あなた
は?そんなこと言ってない(本当)
壬氏
嘘をつけ!!
あなた
(やばいちょっと強気に出て誤魔化そうとしただけなのになんか怒ってる?!?!)
あなた
……茶、出す。飲んで落ち着け
壬氏
毒を盛る気だな…?!
あなた
なんでそうなる????





言い争っていると、薬屋が私の肩に手を置き、宥めるような仕草をした。






猫猫
壬氏様、私は大丈夫ですから
壬氏
だが……
お前まだ顔色が良くないぞ
猫猫
平気ですよ
猫猫
少し驚いただけです






そう言うと、少年と向き合って軽く頭を下げた。





あなた
猫猫
先ほどはまどろっこしい言い方をして申し訳ございませんでした
猫猫
紛らわしい物言いは辞めます。
単刀直入に聞きますが……

















     「 貴方の『ソレ』は
     妖術という認識でよろしいですか? 」













少年は困ったように眉を下げて、視線を彷徨わせながら首に手をやっていたが、やがて小さくコクンと頷いた。

















それを目視した薬屋は、そうですか、と独り言のように呟き、大きく溜息を吐くと、私を振り返った。






猫猫
壬氏様、帰りましょう
猫猫
私たちは何も見なかった。
それで良いですね?
壬氏
…わかった










私たちは『また来ます』とだけ言い残し、少年の家を後にした。


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