第3話

雨の日の帰り道
357
2019/01/29 13:43
澪織side



次の日。


今日も今日とて放課後はスタディカフェに入り浸る。



しばらく1人で勉強をしていると隣から声をかけられた。


???
隣いいですか?


聞き覚えのある声のする方を見るとやっぱり昨日の美少年だった。


ていうかどんだけここ混んでの!?

そう思って咄嗟に辺りを見回してみたけど時間帯の都合か私たち以外に誰もいなかった。

この状況でわざわざ隣に座ってこようとするこの人の心理はなんなんだ。

と思っていたらすっかり返事をするのを忘れてしまっていた。


???
あ!すいません。迷惑ですよね!
僕、あっち行くんで💦


彼はそう言うと引き止める間もなく離れてしまった。




なんだか申し訳ないことしてしまったなあと思いながらも引き止めるまでもないかと思い勉強に取り掛かる。




どれほどの時間が経っただろう。
静寂を破ったメールの通知音が私を現実の世界へと引き戻した。
何時に帰ってくんの?
外結構雨降ってんで?
兄の廉からのメールだった。

廉のメールでやっと私は雨が降っていることに気づく。


雨音はいつの間にか勉強中の良いBGMになっていたので現実の音だと判断できていなかったのだろう。
澪織
じゃあ今日はそろそろ帰る!


とだけ返信を返すと私は外に出た。


廉が言っていた通り外はかなりの土砂降りだった。

折り畳み傘持って来ててよかったわー。


そう思いながら鞄を漁るも入れていたはずの折り畳み傘が見当たらない。

やばい。忘れちゃった。
廉に連絡して迎えに来てもらおうかな?


そう思い携帯を触ろうとした瞬間
???
あの!よかったら傘どうぞ。

あの美少年だった。
さっきの出来事があったからなのか私を見るその目はどこか申し訳なさそうだった。
澪織
え、でもあなたも傘必要でしょ?
???
いや僕、結構雨が好きなんで!
そう明るく言う彼がなんだかおかしくて私はつい吹き出してしまった。
???
え、なんか変なこと言いました?
澪織
だっていくら雨好きでもこの土砂降りの中で帰っちゃ寒いでしょ?
???
ああ確かに寒いっすね。
澪織
うん。
そう言うと彼は一瞬考えて思いついたように私にこう明るく話しかけた。
???
じゃあ一緒に駅まで行きましょう!
てなわけでなぜか私は美少年と相合傘をして帰ることになりました。


(人生で初めての相合傘はあなただったのよ。)

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