第3話

#3 報告
18
2024/05/04 13:42
夜。


一応アイツにも言っておくか。
アイツのことだし、みんながいなくても  
『十二支巡り』はすることになると思う
けど、今まで反発してきたから
言っておこう。…怪しまれないといいな…








ふすまに向かって声をかける。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
お父様。千鶴です。


満面の笑みで。 偽りの笑顔
そうしないと怒られるから。
⁇⁇
入っていいぞ。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
…ふぅ…
ドアを開ける。
お酒とタバコの匂いが充満している。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
お父様。私、 桜井家の巫女としてコロネたちのために 
『十二支巡り』をしようと
思っているのですが…
父
おぉ!そうなのか!
とうとうその気になったか!
いや〜、良かった良かった!
おまえは俺の誇りだ!
桜井 千鶴
桜井 千鶴
そう言っていただき
光栄です。
父が、お酒に酔って赤くなった顔で言う。


返事は適当だ。相手面倒くさい人を怒らせないという  ところにだけは気をつけるが。

『十二支巡り』は大体の巫女が亡くなる。私は2人が守ってくれるので多分死なないが、父には伝えていない。
つまり、アイツは我が子が死にに行くことを喜んでいる。
…イカれてるな。
父
いつから始めるんだ?
桜井 千鶴
桜井 千鶴
なるべく早い方が良いと
思っております。
そう、早い方がいい。
父はそう思うに決まっている。
コロネたちも早い方が良いと言っていた。
私にも都合が良い。
家から抜け出せる父から逃げられるから。
父
やはりそうだよな。…じゃあ、明日からでもいいか?
桜井 千鶴
桜井 千鶴
はい。
断ってはいけない。
日程が明日からで良かった。
これで早く行ける。
父
じゃあ、急いで準備するから
よろしくな。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
はい。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
では、失礼致します。
ふすまを閉める。






桜井 千鶴
桜井 千鶴
…ふぅ…
アイツの機嫌が良くて良かった。
機嫌が悪かったら、何でもっと早く決めなかったんだと怒られてしまうだろう。
怪しまれるかと思ったけれど、お酒が回っていたのか、怪しまれなかった。
…良かった〜。
廊下を歩いていく。
コロネ
コロネ
どうだった?
桜井 千鶴
桜井 千鶴
わあっ!
びっくりした〜
桜井 千鶴
桜井 千鶴
明日から行くって。
ところでポンは?
コロネ
コロネ
まいてきた。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
…えっ?
コロネ
コロネ
だいじょうぶ。
よくあることだから。
ポン
ポン
コロネ様〜っ、はぁっ、疲れた〜っ
また勝手にいなくなって…
コロネ
コロネ
なんでここがわかったの?
ポン
ポン
コロネ様専用GPSです。
コロネ
コロネ
いつのまに⁈
どこにつけてるの⁈
ポン
ポン
な〜いしょ!です!
コロネ
コロネ
こころよめない…
ポン
ポン
妨害しましたから。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
っていうか、私達凄く騒いでいるけれど大丈夫なの?
父側の使用人に気づかれたら
真面目に終わるんだけど…
ポン
ポン
大丈夫です。
私達は見えないし、
声も聞こえません。
千鶴さんが1人で騒いでいる
ことになりますから。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
そうだった…
って、私が終わるんだけど!
ポン
ポン
冗談です。
結界を張っているので、
千鶴さんは見えませんよ。
声も聞こえません。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
笑えない冗談です。
ポン
ポン
これはこれは、失礼しました。
千鶴さんはこれくらいでは
動じないと思ったので…
ポン
ポン
じゃあ、私達は戻りますね。
ポン
ポン
また会いましょう。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
はい。また。
コロネ
コロネ
じゃあね!














…今、また『明日』とは、言ってなかった。どういうことだろう?


























































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