あの言葉が気になって眠れない。
もうそろそろだ。
0時まであと、十分。
0時の電話で本当に死んだ人が居るとか、居ないとか、よく分からないが私は信じている。
だからこそ、しない。
人を殺すなんて、私には出来ない。
絶対に。
あれから、声が聞こえなくなった。
電話して正体を確かめた方がいいのか。
別に名前を言わなければ、電話をしても大丈夫なんじゃないか。
私は、迷った。
早く決めないと、0時になる。
あと、五分。
三分。
一分。
よし、電話して正体を確かめよう。
そう決めると、番号を押して準備をした。
十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、ゼロ。
私は、ボタンを押した。
『電話してくれたんだ。信じてたよ。』
最初に言ってきたことだ。
『じゃあ、名前を教えて。』
『教えない。私は言わない。』
私は断った。
『じゃあ、何で電話をしたの?』
『それはあなたに何者なのか聞くため。』
『自分でも分からないよ。』
『本当に?』
『うん。今殺さないと未優、殺されちゃうよ?あいつらに。いいの?』
『それは嫌だ。けど…』
『殺すのも嫌なんでしょ?でも、殺すのは僕だよ。名前を言うだけだよ。記憶を消してあげるから教えてよ。』
『それでも、殺したの同然だよ。』
『じゃあ、このままでいいの?僕と一緒にこの世界を作り直そうよ!悪い人のいない世界にさ!』
『その世界は幸せそうだね。でも、』
『そんなことはしないでしょ?なら、僕が言わせてあげる。』
『何をする気?』
私は、警戒をした。
『嫌いな人の名前を言え!三人までだ。』
『○○さんと○○さんと○○さんだよ。』
口が勝手に動いてしまった。
意識はあった。
『分かったよ!じゃあ、記憶は消しておくよ。最初から素直に言っていれば、無理矢理言わせなかったよ。おやすみ。』
そして、私は、目を閉じた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。