『もし、神様になれたなら。』
15歳。
舞台『神様になりたい』の主演だった少女は、
三度目の公演でつまずいた。
完璧でいなければならなかった世界。
失敗を許されない観客。
届かなくなった拍手。
そして――
物語は終わった。
けれど次に目を開けたとき、
そこは天国のような場所だった。
優しい両親。
くだらないことで笑える友達。
失敗しても、やり直せる日常。
中学卒業の頃合、
唐突に“転生”は始まる。
そして芸能科で出会う。
そうしてある日、
夢主の頭の中に、
知らないはずの記憶が流れ込む。
過去。
復讐。
嘘。
愛。
破滅へ向かう選択肢。
全部、わかってしまった。
神様の視点で。
それなら。
今度は失敗してもいい。
泣いてもいい。
叩かれてもいい。
でも――
同じ崩壊だけは繰り返さない。
私は奇跡を起こさない。
その代わり、
人を少しだけ“動かす”。
言葉を置く。
選択肢をずらす。
感情を揺らす。
誰かを操ってでも。
もし、私が神様になれたなら。
それは救済か、
それとも傲慢か。
光の強すぎる芸能界で、
少女は静かに盤面を動かし始める。
ー 946文字
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update 2026/03/30