第8話

限界はいつも近くにある
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2024/03/29 13:00
樹said

ミニ会議が始まった。
今日もいつも通り俺が進行する。
田中樹
じゃあ、まず占い結果からか。
藤原丈一郎
俺はさっきも言った通り、恭平占って妖狐やった。
中村海人
髙地くんは?
髙地優吾
っ…吸血鬼…見つけちゃった。
深澤辰哉
え?誰々?
髙地優吾
…ごめん。舘さん。
みんな
…!
みんなの視線が舘様に向く。
宮舘涼太
え?俺は違うよ。ただの市民。
佐久間大介
ごめん…。俺も…。舘様が…。
宮舘涼太
え?
佐久間大介
吸血鬼だった…。
佐久間くんらしくない涙が溢れている。
宮舘涼太
2人の預言者から言われたらしょうがないか…。
深澤辰哉
え?
宮舘涼太
俺だよ、吸血鬼は。
急なカミングアウトに俺等は驚きを隠せない。
舘さんが…吸血鬼?
中村海人
吸血鬼なら…今吊らないと危ないですよね…?
川島如恵留
うーん…吊りたくないけど…。
宮舘涼太
いいよ、今日は俺を吊って。
田中樹
そんな簡単に決めれるものじゃないっすよ!
あまりのショックにちょっと大きい声を出してしまう。
田中樹
あ…ごめん。
中間淳太
舘さん…本当にええん?後悔しいへんの?
宮舘涼太
はい、大丈夫です。翔太たちに会いに行ってきます。
佐久間大介
舘様…逝くなよ…。
深澤辰哉
あと2人で…どうしていったらいいんだよ…。
宮舘涼太
佐久間、ふっか、あとはお願い。
会議室にすすり泣きの声が響く。俺ももらい泣きしそう。
宮舘涼太
ゲームマスター、もう投票でいいよ。
ゲームマスター
あぁ、もういいの?まだ諦めなくてもいいんじゃない?
俺はびっくりした。ゲームマスターが言うとは思わなかったことを発したから。
いつもだったら「オッケー!じゃあ投票に移るねー」って言ってるのに、参加者にこんなこと言うなんて…。
宮舘涼太
大丈夫、妖狐はいなくなったから、俺が勝つよりもみんなが勝ったほうが生き残れる人数は多い。覚悟はある。
ゲームマスター
…分かった。じゃあ投票するねって言っても…みんな舘さんだよね。処刑に映ってもいい?
ゲームマスターと舘さんの言葉は、もう誰も止めれなかった。俺等に出来るのは、ただ頷くだけ。
ゲームマスター
じゃあ処刑に移るね。舘さんは…堂々と銃で逝ってもらおうかな…。じゃあ遺言どうぞ。メモしてもいいし、この場で話してもいいし。
宮舘涼太
…みんな、まず言いたいことがある。ごめん。
髙地優吾
え?
宮舘涼太
俺、役職吸血鬼でしょ?だからずっと1人で勝ってみせるって思っていた。翔太のかたきを取るためにも…。
佐久間大介
舘様…。
宮舘涼太
でも、出来るだけ多くの人が助かるなら、俺は翔太の元へ行くべきだ、そう思って処刑を決意したんだ。
深澤辰哉
後悔…本当にしない?
宮舘涼太
しない。もし後悔しても、みんなのせいじゃないから。佐久間、ふっか、そしてみんな。頑張って生き残ってね。
ゲームマスター
…もう大丈夫そう?
宮舘涼太
あぁ、ここで俺は動かずにいる。いつでも撃ってくれ。
そう言って舘様は手を上げて待つ。撃たれるのが怖くて俺は半目でその様子を見る。俺よりも、舘様の方が怖いはずなのに、舘様は怖がる様子がない。
ゲームマスター
じゃあ…撃つね。
バァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ン!
その銃音で俺は思いっきり目を瞑った。
…目を開いたときには、舘様は既に撃たれて倒れていた。
深澤辰哉
あ、あぁぁぁぁ…!
佐久間大介
起きてよ!舘様!ねぇ!
ふっか師匠がその場に崩れ落ち、佐久間くんはすぐに舘様の体を揺さぶる。だけど、奇跡は起きなかった。

そんな残酷な時間の中、1人が大声を出した。
神山智洋
なんでや!
神山くんだった。
神山智洋
なんで流星の時は心配しないで、舘さんの時は心配すんねん!…舘さんを責めてるんやない、ゲームマスターの態度が許せへん!
中間淳太
神ちゃん落ち着いて、俺も確かにそれは思った。
…ゲームマスター、もし理由があるなら教えて欲しいねんけど。
ゲームマスター
そうだよね…それは許せないか、ごめん。
舘さんを処刑する時、確かに流星にこんな態度はしてなかった。それはゲームマスターとして差別してるなって、後悔した。
これからは、みんな差別ないような態度にする。本当にごめん。
中間淳太
ええよ、分かってくれたら。
その時、俺は何となくゲームマスターが誰なのか絞れた気がした。まだ確信ではないけど。

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