第44話

❄️勝負服
369
2023/06/15 01:00
pipipi...pipipi...pipipi.......
細かく聞こえる電子音にハッと見を覚ますと見慣れぬ部屋と真っ白なベッドで、やっと昨日のことを思い出した。

隣を見ると私が寝るはずだったベッドにユンギが寝ている。
あぁ、私あのまま寝ちゃったんだ。

いつものことだけど、また迷惑かけたなと思いながら布団をどけると、あまりにも大胆にバスローブがズレてるから凄く焦った。


また慌てて隣を確認して…、うん、ユンギはちゃんと寝てる。
何事もなかったかのように足を隠して、ローブを整えてからベッドを降り洗面所へと向かった。

シャワーを浴びて目を覚まし、洗顔と保湿と歯磨きを済ませてベッドルームに戻ると、ユンギが布団の中で伸びをしていた。

まだ目が開いてないままで非常に可愛らしい。

よく考えたら、こんな平和に一夜を共にしたのは初めてだ。
というか、泊まるのだって2回目だし前回は落ちつかなかったし……

付き合ってるわけでもないのにご褒美すぎでは…?


とは言え、あまり貪欲になると後が辛い。
だって今日はこれからある意味戦場に行くようなものだから…
you
ユンギおはよう
Yg
んー……はよ、
you
昨日ごめんね、こっちで寝ちゃって
Yg
想定内
ですよね…
苦笑しながらポーチをしまい、少し時間に余裕があるから再びベッドに座った。
you
シャワー浴びる?
Yg
いや、いい…
ごろんと寝返りを打って反対側を向いてしまったユンギを見て、話せそうな状況でないことを察知した。
you
じゃぁ、バスルームで着替えて来ていい?
Yg
あー…なら先トイレ行かせて
熟練の夫婦のような会話にニヤニヤしてしまいそうになるけど、裏を返せば色気がないということで、それはそれでどうなんだろうと考え込んでしまう。
Yg
お待たせ
you
はーい
あらかじめ出しておいたドレスを持って、洗面まで済ませたらしいユンギと入れ替わりにバスルームへと向かった。


大きな鏡に映し出されながら着替えるのはなんとなく気恥ずかしい。


鏡の中で輝いているように見えるブラックのパンツドレスに身を包んだ自分を見て、まぁまぁだなと自己評価を上げておく。

まだすっぴんだから、首から上は見ないこととして。
今からプロの手によって少しでも綺麗にしてもらえれば、このシックなデザインのドレスに負けないで済むかもしれない。

you
…よし。
ドキドキしながら小声で気合を入れて、バスルームのドアをゆっくりと開けた。

出来るだけ表情に出さずにクールを装って、スーツケースの中からアクセサリーを取り出す。

ベッドに座った瞬間に感じる隣からの視線に鳥肌が立ってしまった。
嫌な意味でなく、もちろんすごく嫌な意味で。

どう見られてるか、良く思われてるか、そもそも本当に私の方を見てるのか?
今更確認することもできずに、左側からの圧を感じながらネックレスを首に回した。

馬鹿みたいに緊張しちゃって、手先が震える。

かっこよく決めたいのにこんな時に限って全然留め具が引っかからない。

一度首から離して前で確認をしてから再び首に回してみるけど、ドキドキする心臓のせいでやっぱりくっつかないよ。
Yg
やろうか?
you
へっ?
変な声が出てぱっとユンギの方を見ると、ベッドに横たわりながら頭を手で支えていて、王族みたいに堂々としてるからちょっとだけ緊張が緩んだ。

you
お願い、します…
無言で唇を横に伸ばしながら、自分の前のシーツをポンポンと叩く王様。

私は当然逆らうことをせずにネックレスを手に持って彼のベッドへと移動する。

ユンギの前に腰を下ろすと、やっと起き上がって私の手からシルバーを抜き取った。

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