なんでこんな血の海かと言うと、荼毘が喧嘩売った相手が大勢で報復しに来たらしく、三手に別れて行動をしていた
まぁ戦ってくれたのはもっぱらあなたちゃんだけど
それでもって熱狂的なヒーロー殺戮主義で、ヒーローや警察、あと関係ない人に破壊衝動を振り撒く、ある意味死柄木の様な子だ。
しかし、そんなあなたちゃんのお陰で、俺は普段なら見ることの出来ないあなたちゃんの狂人っぷりとグロテスクに殺された死体らをいくつか見てきた。
ハズレはハズレで何がハズレか分からなくても、それは有難いのだが、俺だって嫌なもんは嫌。
でも凄い興味がある。
6・4で見たいけど見たくない。分かるだろうか
この心理。
その時足元から声。
俺が腕を吹き飛ばしたヤツがあなたちゃんを血走った目で、ぎょろりと見据えていた
パァン!!!、
夜だからと言うのも相まって、ソイツがエアガンを持っていたことに、俺もあなたちゃんも気付かなかった
あなたちゃんは瞬時に馬乗りになって首を絞めた。
一つ、二つ、三つ。その身体が痙攣した。エアガンが手から落ちる。その手が宙を掻く。音は無く、静かだった。
人の目にも僅かに視認できる点滅、古い電柱の蛍光灯が、立ち上がったあなたちゃんを照らしていた。
『足…』
俺はあなたちゃんにに背を向けてしゃがむ
俺もそれが分からない程バカじゃない。かと言って無くなればお荷物になる。
でも、なんだかいつもの俺でもなかったみたいだ
背後からは声がしなくなった。数十分ほど待った。いや、もしかしたら数十秒もなかったかもしれない。
あまりに静かなものだから、倒れてしまったのでは!?と思って振り返ろうとした
首に両腕が回って背中に少し体重がかかる
義手がギシギシと軋む音に多少ドギマギしたが、
そこまで重くもなかったし、でもいつもより静かで怒ってるのかと別の意味でドギマギした。
籠った声が、俺の肩から振動して聞こえてきた
当たり前だけど、おんぶをしていたら、乗っかってきてる子の顔は見えない訳で、綺麗なサラサラの黒髪が、俺の首筋を伝った
そうして次に後ろから聞こえてきたのは乾いた笑いと静寂だけだった。
飯場の中に入ってあなたちゃんをソファに置いて、
ゲシッ
ご丁寧な拘束でケーブルに触れられない
おれの”圧縮“は触れられなきゃ発動できない
こんな窮地でただてめェのケツを
まさぐるしか出来ねぇとは
死柄木も死柄木だぜ
俺たちを呼び寄せたんだろ!?
皆揃ってさァ暴れましょうってこったろ!?
お前がやられててどーすんのよ!!
ワナだぜこんなの!!
スピナーの仰る通りだ。まだ何も
荼毘も、
トガちゃんも
_____…あなたちゃんも、!
俺も、夢半ばなんだよ!
ギュルルルルルッ
打開策を考えてる中、ワイヤーが一層多く巻き付いて、俺の、スピナーの首、抜け出しかけたあなたちゃんの髪を絞めた
ここまでか…!!
誰も過去を詮索したりしなかった。歪んだ奴ばかりで
『 コンプレスさんっ! 』
手前勝手な集まりだった
ギギギギ……ギギギギ……
ミシ……ベキ……
もっと奴らが距離を取るタイミング
脳無の…位置に合わせて
俺の夢。血の使命。ここにいる理由!!
パンッ!!!!!
身体を抉って、腕の可動スペース確保!、
腕が動けば
この通り!!!
パッ、
命張ンのがてめェらだけだと思うなよ!!
さァやってやるぜ
最高のエンターテイメント!!
あなたちゃんの腕を掴んで走り出す
死柄木やスピナーみたいに圧縮しようと思ったけど的がズレたんだ許してくれ
ギッ
”服の拘束“だが!!縛られても予め手を置いとけば
早業で破れる!
パッ
逃げ足と欺くことだけが取り柄の俺が
チームのピンチを救うんだ!
張間謳児。稀代の盗っ人。昔々の犯罪者
現行制度が整備され始めた頃、私服を肥やす
ヒーローモドキを標的に盗み働いた
盗んだ金品を市井にバラ撒き”世直し“を訴えた
『 圧紘、ウチの家系はな!不正を暴かんとする
正義の血が流れているんだ!! 』
パッ
荼毘を圧縮したあと、俺はあなたちゃんを引っ張ってヒーローたちから死角になる所に隠れる
あなたちゃんは何故か泣いていた。それは捕まりたくないからか、それとも怖いからか、……それとも、俺を心配してくれてるのか
あなたちゃんのほっぺに付いた血を拭って、頭をポンとした瞬間に圧縮した。久しぶりだこんな感情
張間よ。アンタの成せなかった ”世直し“ は
俺のボスに任せるよ
解放戦線…敵連合の死柄木が、
俺の代わりに世界を変える
あなたside
視界が暗くなったと思ったら、急に空の眩しさと、急な風圧に目がと身体が眩む
スピナーは咄嗟に弔から手を離したが、弔は弔じゃなくて、なんだかもう、
背中がぞわりとした
next
少々長くなってしまいもすた…ここまでのスクロールお疲れ様でございました
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。