なんか、声、近い…?
驚いた勢いで飛び起きる。
てか本当に輝音だよね…?
私が見間違える訳ないけど、言ってることがいつもの輝音じゃないんだけど…⁉︎
輝音に顔をのぞき込まれる。
私は耐えきれずに部屋から飛び出す。
今日の輝音は一体何なの⁉︎
ガチャッ。
キッチンにいる母を見ると…
「も〜衣織、朝からそんな大声出さないでよ」
「あー、そうね、そろそろかな」
「詞音くんがいつもお世話になってるから今日は私の手伝いしたいって言ってくれたから一緒に朝ご飯作ってるのよ」
「あら〜詞音くんてば衣織のことそんな風に思ってくれてたの?」
輝音が私の真後ろから急に声をかける。
びっっっくりした…
無言で後ろ立たないでよ…
「あらそう?」
「じゃあお願いね〜」
騒がしい空間に母を残して私は洗面所へ向かった。
「そんな怠けたことばかり言ってないで輝音くんと詞音くんを見習いなさいよ、いつも起こしてもらってるんだから」
「せっかく誘ってもらったのに忘れるなんて、私の娘ながら酷いわね〜」
私は急いで朝食を食べ終わり、部屋に準備に向かった。
やば、待たせてたんだった。
何…今日はなんで二人ともこんなに甘々なの…⁉︎
そう。
生まれたばかりの頃から家が隣で輝音と詞音とずっと一緒に育ってきた私は、見分けがつかない担任やクラスメイトのために見分け係になっていた。
まあ、高校になったら二人とも髪型を変えたから大体分かるようになったけど。
…あれのことか。
中学の時だって、あんなにゼロ距離に私がいながら、全く見向きもしなかったのに。
「よーし、そうと決まれば今日の遊園地デートも頑張らないとな!」と詞音が言う。
…私、これからどうなるの…⁉︎
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!