目を覚ますと、坂川先生が机に向かっていて、こちらを見て「目を覚ましたしたか」と声をかけた。
意識がまだしっかりしていなくて、目を擦りながら「はい」と答えることしか出来なかった。
「ベッド、ありがとうございました。」
「いえいえ。体調の程はどうですか?」
「だいぶと良くなりました。」
「そうですか、それなら良かったです。」
先生はベッドを片付け始めた。
そこで私はある夢を思い出した。
男の人か、あるいは男の子か。誰かが近くに来るような夢を見たきがした。
夢なのか。
夢だよな。?
「先生、」
「ん?なんですか?」
「私が寝ている間に、誰か男の子来ませんでしたか?」
「はて…。数人は来ましたが、皆さん怪我の手当だったので5分足らずで帰りましたよ。」
「そうでしたか。すみません、変なこと聞いちゃって」
坂川先生は「はははっ」と笑うと「寝ぼけてるんですか、?笑」と優しく言った。
いやまぁそうだと思うけど。
何もなかったことにしておこう。
というか夢だったんだから。
「じゃあ授業戻ります」
「はい、分かりました」
そうして保健室を出た。
「廊下暑っつ…。」
保健室が快適だったため、廊下が嫌に暑かった。
教室までの廊下は、授業をする教師の声で溢れていた。真っ最中に戻るというのも恥ずかしいな。
ガラガラガラ…
「す、すみません…💦」
「保健室行ってたんでしょう?知ってるので大丈夫ですよー」
ちょこんと座席に座った。
教室入んのこんな緊張すんの…?💦
心臓バクバクしてる、やばい。もう絶対に授業中に教室帰らない…!!
side / 坂川先生
なんだなんだあの生き物は……!!!
目を擦りながら「はい」!?
寝ぼけているにしても可愛過ぎる…!!
でもさすがに誰か男の子が来たかという質問が来たのはドキッとした。
自分のやったことがバレたのかと思った。
バレたら、白野さんにバレたら俺はどうなる?
なにもなかったように接することができるのは、一体いつまで?
この理性がいつまで保たれるか分からない。
くそ……!!
来ては行けない場所、保健室。健康であって欲しいと願う。でも…。
もう一度来ないかな。と中学生のようなことを思ってしまう。
まだまだだめなんだな…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!