湊禿side
………あ、そうだ…
俺、死んだのか……
だって、そうでもなきゃ………〝母さんに会えない〟
俺みたいな失敗作が居たから、みんな……ツラかったはずなんだ………
冤罪だとしても、みんなには、通じないだろうな……
だってみんな、母さんのこと大好きなんだもん
俺は、もう疲れた
これ以上、頑張りたくない……
誰も………俺のことなんて、必要としてない……
わかりきってる、コトだよ……
俺なんかよりも、珠孤豊ちゃんやらんらんの方が、全然役に立つ
俺より優しいし、頼りになる
俺みたいな弱虫の失敗作は………イラナイよ……
〝俺にしかできない〟
どうして………俺だけ、なんだろう……
珠孤豊ちゃんやらんらんでも、いいはずなのに……
珠孤豊ちゃんにも………らんらんにも無いモノ………
そんなの………あるのかな………
これで、終わりにしたい……
もう、これで最後……
疲れちゃったから……
トコトコトコトコトコトコトコトコトコ
この穴を滑ったら、俺はあの地獄へ戻る
でも………我慢しなきゃ………
いつか………〝ママが迎えに来てくれる〟から……
それまで………耐えればいいだけ………
たとえ、「俺自身」を壊すことになったとしても……
〝ママ〟に手を振り、俺は穴を滑る
ジェットコースター並の速さで滑っているのに、俺のまぶたはどんどん重くなる
身体の力も、抜けていく感じがする……
このまま滑りきったら、俺はみんなの所に戻ってるのかな……
そうなったら、またあの地獄を耐えなきゃいけない
だけど、そんなの〝いつものコト〟じゃない
〝弟たちを守る〟
〝あの日〟………母さんと約束した………
守らなきゃ………
みんなを………
あーあ……
戻ってきちゃった………
ランクイン作品が増えて感謝感謝ですわ!!
ありがとうございます✨
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。