『スネイプの娘 〜セシリー・ポッター〜』
1981年10月31日、ゴドリックの谷。
その夜、世界はハリー・ポッターの生存に沸いた。
でも誰も知らなかった。
あの廃墟の中に、もう一人の赤ん坊がいたことを。
セシリー・ポッター。ハリーの一歳年下の妹。
その子を拾い上げたのは、
セブルス・スネイプだった。
なぜ引き取ったのか、スネイプは多くを語らない。
ただ翌朝には、
地下牢の私室に小さな部屋が一つ増えていた。
スネイプに育てられた少女は、魔法薬が得意で、
観察眼が鋭くて、たまに毒舌が飛び出す。
スネイプが「余計なことを言うな」と言いながら
お茶を出してくれることを知っていて、
「おやすみ」の後に「風邪をひくな」と
背中に声がかかることを知っていて、
それがどういう意味かを知っている。
ホグワーツには生徒として入学した。
グリフィンドールに組み分けされた、
お母さんと同じ場所に。
手紙だけで繋がっていたハリーと、
初めて同じ空間に立った。
スリザリンには幼い頃からの幼馴染がいた。
グリフィンドールには、すぐに親友ができた。
でもセシリーは一つだけ、
誰にも言えない秘密を抱えていた。
背中に刻まれた、不規則なひびわれの傷跡。
それが何を意味するのか、
セシリーはいつか自分で気づいてしまう。
これは、スネイプに育てられた少女の物語。
不器用な愛情の中で育って、
緑の瞳でちゃんと世界を見て、
最後まで自分で選び続けた、
セシリー・ポッターの物語。
ー 1,581文字
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update 16時間前