いつの間にか夏が来て、いつの間にか明日から俺らが大好き夏休みがやってくる
どいつもこいつも浮かれムードや
それはあなたの名字も例外やない
言葉からはあまり楽しみじゃなさそうやけど、あなたの名字のお尻の方にもの凄く横に振ってる尻尾が見える
あなたの名字は俺の完璧な予定を軽くあざ笑ってきやがった
なんとでも言え
別に外で遊ぶのも個人の自由やしいいけどさー
やっぱ家でゴロゴロすんのが1番充実した夏休みなんよ
俺らが明日からの夏休みについて話してると、後ろから志麻センが話しかけてきた
そして、俺らは今合宿の真っ最中や
筋トレを少しでもサボると志麻先輩にすげー怒られる…
そう、俺らが合宿をしているのはいつもの場所やない
海が近い志麻先輩の実家でやらせてもらってる
志麻先輩の実家は意外にもちよーデカイ
実家に体育館とかありえんやろ!!
この金持ちがっ!
俺らがしばらく練習してると体育館の入り口の方から声がした
俺らはもの凄い勢いで志麻先輩のお母さんの元へ駆け寄った
おぉ!この人は女神かなんかか!?
俺は女神から遠慮なくおにぎりを受け取った
パクッ
ただのおにぎりがここまで美味しく感じるのは初めてや!
部員がみんな志麻ママに集まっているのをよそにシュート練習をし続けている奴がおった
シュートを打つ姿はとても綺麗で髪の毛を滴る汗がそれを引き立てとる
あいつ飯だっていうのにまだ練習やんのかよ……
俺があなたの名字にみとれとると、背後から大量のおにぎりを抱えてセンラが話しかけてきた
俺はびっくりして身構えた
別にそんなつもりは…ってうらさんと言い訳まるっきり同じやんこいつ
あなたの名字の自主練習の理由?
お前が好きでバスケ部入った結果…いつの間にかバスケも好きになっとったってことやろ?
あとはお前と一緒に試合に出るためとか…
俺のアンサーにセンラは真剣な顔して関西弁でバツを付けてきた
俺には他の理由なんて思いつかへんよ
?俺に置いてかれる?
俺とセンラが話してる間にもあなたの名字はシュート練習を絶え間なく続けてる
馬鹿やなーあいつ
そんなこと心配せんくても俺はお前のこと追い抜くことなんてできんのに
身長とそれなりの体力と技術でなんとか隣に立ててるのは俺の方や
俺より身長低いのにほぼ百発百中でシュート決めて、素早いドリブルでゴール付近まで攻めてくれてるお前の方が凄いわ
そう言いながらセンラは俺に大量のおにぎりから数個俺に投げ渡してきた
俺は慌てて全て落さんように抱えた
俺はそれだけ言ってあなたの名字のところに走った
なんでそんなことセンラが知っとったのかは知らんけど
少しあなたの名字がセンラのことが好きな理由が分かった気がしなくもない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!