スタッフさんが幾度となく同じ言葉を繰り返す。
もう何回目かは分からないけど。
ころんくんが居るスペースの前には、数え切れないほどのリスナーさん。
此処の列は水色で、他の列には桃、紫、橙、赤、黄色のリスナーさんが。
皆んな可愛いなぁ、なんて呑気に思っていた。
それとは反対に、自分は劣ってるんじゃないかって考えちゃってる。
数時間並んだ気がする。
何時の間にか、壁が自分の真ん前に。
次、か。
薄い壁越しに聞こえる、『君』の声。
少し低くなったかな。
勿論なんだけど。
でも、変わらないガサガサ声。
失礼かな?
何度も聞いた言葉でも、今の『次の方』は私の事。
少し、緊張する。
スタッフさんによってボックスに通される。
自然と俯いてしまった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!