シューター
終戦の瞬間、一人のパイロットが役目を与えられ、飛び立っていった。
彼は戻らなかった。理由も説明もないまま、戦争は処理された。
役目を失った「俺」は市民に戻るが、やがて再び呼び戻される。
拒否も疑問もなく、「役目が回ってきた」と理解するだけだった。
敵がいるのかと問うと、答えは簡潔だった。
それ以上の説明はなかった。
配属されたのは、空母甲板。
戦闘機の発艦を手信号で指示する役職――シューター。
俺は飛ばさない。ただ、飛ばす合図を送る。
戦闘機が堕ちても、甲板は止まらない。
一つの処理が終わり、次の手順が始まる。
仲間が苛立っていても、その理由を考えることはない。
乾パンを口に入れ、合図の位置に立つ。
誰が乗っているのかは知らない。
どこへ向かうのかも知らない。
手順は変わらない。
俺は最後まで、役目を果たす。
ー 682文字
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update 2025/12/15