第30話

#.30
22
2026/05/19 15:14 更新
猛暑日は終わり、少し涼しくなり始めた10月。
10月に何があるかと言われると、それは、私が一番楽しみにしている行事──そう…
氷川夏愛
氷川夏愛
文化祭…♪
高1の私がなぜこんなにも楽しみにしているのか、それはもちろん、高校の宣伝の張り紙で見たから。
先輩と同じ高校に入学するために勉強した、と思われていそうだが、ちゃんとこの高校の雰囲気も見ていたのだ。 

──恋心に踊らされる少女漫画の主人公?お黙りなさい。
先生
でーはではではではではaaaaaaa
先生
文化祭の班決めするぞー
氷川夏愛
氷川夏愛
うぇーい
友達
やっばい楽しみすぎてタコになりそう
氷川夏愛
氷川夏愛
どういうことよ
先生
あ、ちなみに今年の文化祭から、先輩たちと協力して一つの出し物を作るってことになったぞ
氷川夏愛
氷川夏愛
ほう
氷川夏愛
氷川夏愛
…え?
先生
ん、どうした、氷川
氷川夏愛
氷川夏愛
先輩と同じグループになって、一緒に出し物を作るってことですか?
先生
いえっさー!!
他学年との交流も大事だという意見があってな
氷川夏愛
氷川夏愛
こ、交流…
友達
ねーえ!!もしかしたらイケメンと同じグループになれるってことじゃーーん!!!
氷川夏愛
氷川夏愛
あー、ははは…
先生
グループはこっちで作っておいた。このクラスで、同じグループの人は自分ともう一人いるから、覚えておけよ。
今から名前を呼ぶ!
先生
水野〜、木下〜、1班
先生
杉宮、氷川〜、21班
氷川夏愛
氷川夏愛
っ…!
先生
以上!
今のうちに相方と話しておきなさい
友達
夏愛、顔死んでるよ
氷川夏愛
氷川夏愛
だって…杉宮さんなんだよ…
友達
あー…まあ…頑張れ…
氷川夏愛
氷川夏愛
ちょっ…助けてよ…
杉宮璃乃(すぎみやりの)。このクラスになって、私はまだ彼女と一度も話したことがなかった。
理由は単純。悪い噂が絶えないのだ。
先日、人を蹴っただとか、とにかく素行がよくないと言われている。

いや、ここで怖気づいては氷川夏愛の名は名乗れない。
──声をかけよう。
氷川夏愛
氷川夏愛
杉宮さん…こんにちh
杉宮璃乃
杉宮璃乃
…なに
氷のように冷たい声…いや、氷より冷たいかもしれない。
心臓を貫くような榛色の瞳。──高く結ばれたポニーテール。
氷川夏愛
氷川夏愛
アッイヤ…同じグループだから…挨拶しておこうかなってオモッテ…
杉宮璃乃
杉宮璃乃
ああ、そう。それで?
彼女はスマホを見ながら適当に答えていた。
氷川夏愛
氷川夏愛
エッッッッッ、その…連絡先交換とか…
杉宮璃乃
杉宮璃乃
はい
彼女はスマホを私の机にどん、と置いた。
その画面にはQRコードが表示されていた。
氷川夏愛
氷川夏愛
あ、ありがと…
杉宮璃乃
杉宮璃乃
…もういい?
氷川夏愛
氷川夏愛
あ、うん…呼び止めちゃってごめんね
杉宮璃乃
杉宮璃乃
…
杉宮さんは黙って去っていった。
とにかく今は、同じグループの先輩がいい人であることを祈ろう。
心の片隅で思った。──先輩と一緒がいいな。


この場合、普通の少女漫画だったら、同じグループになるだろう。しかし、現実はそう簡単にうまくいかない。
──はずだった。
氷川夏愛
氷川夏愛
……
次の時間、先輩たちと顔合わせ。
私の目の前にいたのは…
優しく手を振る、私の大好きな人だった。
杉山薫
杉山薫
夏愛、やっほ
氷川夏愛
氷川夏愛
せーんぱあぁい!!!
杉山薫
杉山薫
あはは、どした?
そんなに嬉しい?
氷川夏愛
氷川夏愛
いやいや別にそういうことじゃなくて、私と同じクラスの、このグループはもう一人の子!!話したことなくて気まずいんです〜〜!!!
杉山薫
杉山薫
え、今そういうことじゃないって言った?嬉しくないn
氷川夏愛
氷川夏愛
どおしたらいいんですか先輩〜〜!!!
私気まずくてそのまま天国行っちゃうそうなんですう〜!!
杉山薫
杉山薫
おうおう、やめてやめて、まだ早いよ
氷川夏愛
氷川夏愛
とにかく、コミュ力ある先輩がどうにかしてください…
杉山薫
杉山薫
へへ、任しといてよ
氷川夏愛
氷川夏愛
わかった!じゃあ呼ぶね、杉宮さーん!
杉宮璃乃
杉宮璃乃
…
杉宮さんは私と先輩に交互に冷たい視線を送った。
杉山薫
杉山薫
っ…
さすがの先輩でも背筋が凍ったらしい。
笑顔が引き攣っていた。
氷川夏愛
氷川夏愛
あ、ああ…っていうか、三年生は?
一年生二人と、二年生一人、三年生一人でグループでしょ?
杉山薫
杉山薫
…あぁ、なんか三年はいないらしい
氷川夏愛
氷川夏愛
いない!?
杉山薫
杉山薫
なんか、人数の都合らしいが
このグループ俺ら三人ってことだ
杉山薫
杉山薫
先生に「お前のセンスに期待してる」って言われたけど、俺センスなんてねえし…
氷川夏愛
氷川夏愛
ふふ、私たちには強い味方がいるじゃない!
杉山薫
杉山薫
え?
氷川夏愛
氷川夏愛
──お兄ちゃん!!

プリ小説オーディオドラマ