猛暑日は終わり、少し涼しくなり始めた10月。
10月に何があるかと言われると、それは、私が一番楽しみにしている行事──そう…
高1の私がなぜこんなにも楽しみにしているのか、それはもちろん、高校の宣伝の張り紙で見たから。
先輩と同じ高校に入学するために勉強した、と思われていそうだが、ちゃんとこの高校の雰囲気も見ていたのだ。
──恋心に踊らされる少女漫画の主人公?お黙りなさい。
杉宮璃乃。このクラスになって、私はまだ彼女と一度も話したことがなかった。
理由は単純。悪い噂が絶えないのだ。
先日、人を蹴っただとか、とにかく素行がよくないと言われている。
いや、ここで怖気づいては氷川夏愛の名は名乗れない。
──声をかけよう。
氷のように冷たい声…いや、氷より冷たいかもしれない。
心臓を貫くような榛色の瞳。──高く結ばれたポニーテール。
彼女はスマホを見ながら適当に答えていた。
彼女はスマホを私の机にどん、と置いた。
その画面にはQRコードが表示されていた。
杉宮さんは黙って去っていった。
とにかく今は、同じグループの先輩がいい人であることを祈ろう。
心の片隅で思った。──先輩と一緒がいいな。
この場合、普通の少女漫画だったら、同じグループになるだろう。しかし、現実はそう簡単にうまくいかない。
──はずだった。
次の時間、先輩たちと顔合わせ。
私の目の前にいたのは…
優しく手を振る、私の大好きな人だった。
杉宮さんは私と先輩に交互に冷たい視線を送った。
さすがの先輩でも背筋が凍ったらしい。
笑顔が引き攣っていた。
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!