夢を見た。
僕と君が、この先ずっと幸せに生きている。
2人で大人になって、2人で老いていく。
ずっと、ずーっと、どんな瞬間も幸せで。
シアワセなんて。
ー⋯僕らにあるはずないのに。
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夢みていた。
誰にも好かれる主人公なら。
こんな、汚くて醜い俺らでもちゃんと救ってくれるかな?
そんなことを話していた日々。
そんな期待でもしないと、俺らは生きていけなかった。
馬鹿だなぁ
シアワセになんて。
ー⋯なれるはずないのに。
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ふと、目を覚ます。
隣に、君の気配がする。
久しぶりにちゃんと眠れた気がした。
君を起こしたくなくて、僕は繋いだままの手をほどかなかった。
じっと、君の寝顔を見つめる。
あどけなくて、穏やかな表情。
そっと君の胸に手をおいた。
ー心臓の鼓動を確認して、僕は安堵する。
⋯生きてる。
僕も、君も。
2人きりで。
2人だけの世界で。
息苦しい世界で。
自由な世界で。
ちゃんと、息をしている。
ちゃんと、生きた。
だから⋯
どんな夢をみているのだろうか。
君は、時々嬉しそうに笑みを浮かべ、
時には辛そうに顔をゆがめた。
苦しくなる。
君をずっと苦しめていたのは、
世界でも、大人でも、クラスメイトでもなくて。
本当は全部、
自分が、僕が悪いんだって。
僕の声に反応するように、莉犬が薄く目をひらく。
まだ眠たげな目で、ふわふわとした顔で、柔らかい表情で、莉犬は優しく僕の頭を撫でた。
みんな、心のどこかでは自分は悪くないと思っている。
自分のせいじゃない、自分は悪くない。
みんなに認めてほしくて、嫌われたくなくて。
だから、人は汚い自分を隠す。
ーだけど。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。