⭐︎リクエスト⭐︎
流星が熱を出し倒れて、
大ちゃんに看病されながら甘えてしまうお話。
流星side
大ちゃんは今年の冬公開の映画に研修医役として出演する。それに関連した単発のドラマを今撮影中らしい。
そして、僕のドラマ出演も決まったばかり。
なんと僕も大ちゃんと同じ研修医役。
こんな偶然ってあるんだなぁって。
そしてもう一つ偶然が…
医療ドラマの場合、実際の病院は感染やプライバシーの問題からあまり使われないため、病院に似た建物内に病室や手術室のセットを組むことが多い。
そして…大ちゃんのドラマと僕のドラマのロケ地が被ったってわけ。
そんなことを言いながらも…
僕だって、大ちゃんの白衣姿は少し気になる。
でもそんなこと言うのは恥ずかしすぎるし…初めての医療ドラマでプレッシャーもある。
だから、ここはアイドルとしてでは無く、俳優として頑張りたくて。なるべくメンバーとは離れてみよう、そう思っていた。
次の日早速衣装合わせを行い、台本が配られる。白衣はなんだが緊張するし、台本もゴールデン帯のドラマということもあって、かなり分厚い。
そして僕の役は、医者家庭に生まれた研修医役。血を見るのが苦手な青年…か。
台本の中身もかなり医療の言葉が使われていて、覚えるのが大変そう。
でも、やらなきゃっ!
そう意気込んで望んで行った。
次の日も次の日も…台本と睨めっこの僕。
そしてグループで仕事の時も。
台本ばかり…見ていたのだった。
するとそんな僕の様子を見てくる1人の人物
大ちゃん…
大ちゃんの役所は、エリート研修医。
あらゆる試験を主席突破し、将来を期待されている医学生役だった。
…エリートか。僕より覚えることが多そうで、大変そう。
そう言ったけれど、僕はちょっと焦ってたんだと思う。
必死に覚える僕と、パラパラと巡りながら流し読みする大ちゃん。
昔から沢山のドラマに出ていたし、記憶力もすごいし、頭もいい。
だから難しい単語もきっと…すぐ覚えちゃうんだろうなぁ。
それに比べて
僕は努力しないと覚えられない。
記憶力もなければ、頭も…。
その分頑張らなきゃなんだっ、
そう思って、寝る間も惜しんで台本を体に叩き込んでいったのだった。
そして、撮影当日を迎えて順調に進んでいると思っていたが…
慣れない医療用語にそれと並行した医療行為。
僕とは違って俳優業を極めた共演者さん達。
そんな環境での撮影は、いつもよりも緊張が増してしまって…なかなか上手く進むことが出来なかった。
必ず僕のところで止まっちゃう。
そして休憩中も台本をみて、医療行為の動作を体に叩き込む。
難しい…っ、でも、僕のところで止めてはいられないっ!!
そして気づけば次のシーン撮影まであと10分。
急足で撮影フロアへと向かっていると…
“カット!!”
と声が聞こえる。目線を向けると…
流星
…大ちゃんや。
僕と同じ白衣を着た大ちゃんが、撮影をしているのが見えた。
同じ研修医役。だけれど、雰囲気は全く違う。
遠目でもわかる。セリフをスラスラと流暢に並べて、雰囲気も立ち振る舞いも…お医者さんそのもの。
監督さんも共演者さんも、大ちゃんを囲んで楽しそう。
…なのに、僕は…。
比べるものでもないし、比較するものでもない。大ちゃんは僕に比べて演技の経験も多いし、年上だから。そう、だから仕方がない。
そう思って自分を納得させようとするけれど
何で僕には出来ないんだろう。
大ちゃん…かっこいいなぁ。
すると気づいたのか、大ちゃんが好きを見計らって僕の方へと駆け寄ってきてくれた。
にこにことした笑顔で、いつもの様に優しく話しかけてくれる。
不安でいっぱいの僕はすぐにでも大ちゃんの優しさに甘えたくて仕方がなかった。
慰めてほしかった。
元気付けてほしかった。
…だけど、いま甘えてしまったら
いつもの僕になっちゃう。
だめだ。撮影が終わるまでは集中しなきゃなんだっ!
大吾side
撮影は順調に進み、もう少しで休憩をと思っていたら…向こう側にいたのは俺の大好きな可愛い子。撮影現場が同じとは聞いていたがまさか会えるとは。
俺も流星で充電がしたかったため、喜んで駆け寄っていったのだが…流星自身はどこかいつもと雰囲気が違う。
言葉をかけてもそっけなく返して、去ろうとする。
…これは放っておいてはまずい奴や。
長年の勘からそう感じることができたのだった。
長年一緒にいる俺には隠せへんよ。
やつれて元気のない顔、目の下にできたクマ。
不安そうな声。
ちゃんとご飯も食べてないやろ。
このまま行くと流星が壊れてしまいそう。
ほら、やっぱり。
こう言う時はちゃんと俺が甘させてあげないと。
そう両手を広げて近づいて行ったのだが…
…突然の大声に俺も驚いてしまう。
そうそれを突き放すかの様に言葉を言い放って立ち去ってしまったのだった。
予想外の事に呆然とする俺。
…子供扱いしたつもりは無いんやけど。
そっか。今はお互い研修医。なのにどこかまだ幼く見てしまってたのか。そりゃ、役に入り込んでるのに、下に見られたら嫌やよなぁ。
流星なりに一生懸命やってたのに、余計なこと言ってしまったわ。
その後の撮影も…俺の方はスムーズに進めていったが、頭には流星のあの言葉と、不安そうな顔つきが残ったままで。
早く無事に撮影が終わってくれますように…何もありませんようにと願うしか出来なかった。
でも、やはり嫌な予感は的中してしまう。
流星side
やっぱり…大ちゃんとなんて会うんじゃなかった。あの後、余計に体が大ちゃんを求めてしまって不安になって…セリフどころか動作も震えてしまう。
監督さんに今日はここまでにしましょうと言われて…結局撮影シーンを前後させてしまう形となった。
こんなんじゃだめだっ。
今日は…しっかり家に帰ってセリフを入れて、繰り返し医療動作の練習しないとっ。
それは多分大ちゃんの姿を見た焦りもあるんだと思う。大ちゃんにできで僕には出来ない。
あんなに…大ちゃんはかっこいいお医者さんなのにっ。
そう思って…僕は夜通しセリフを叩き込む。
僕は努力しないとだめな人間なんだから。
自分の体の限界も知らずに。
…次の日。
僕は自信満々で撮影に臨む。
今日は…大丈夫。全部セリフも入ってるし、次に動くイメージもバッチリもてている。
体がそう動けと言わんばかり、無意識に動いてくれる感じ。
ただ…少し体がふわふわしてるくらい。
でもそれはきっと気のせいだから。
…
よかったっ!、、
やっぱり僕はここまでやらないとだめなんだ。
ふらっ…
ちゃんと出来たって…嬉しかったはずなのに。監督さんは次の瞬間、僕が予想もしなかった言葉をかけてくる。
じゃあ…どうすれば良かったの?
あんなにセリフも医療言語を覚えたのにっ。
大ちゃんに…追いつきたかっただけなのに?
わからないよっ…。
ふらっ…
何だろう。緊張していた糸がプツンと切れてしまったかのように。
朝から我慢をしていた体が悲鳴をあげたかのように。
ふわふわしていた体が鉛のように重くなって…
自分の力じゃ立てない感覚に襲われた。
そして
バダンっっっ!!!!!
そのまま僕は撮影現場で倒れてしまった。
大吾side
“カット!”
もう少しでクランクアップか。
俺のは単発ドラマだから、数日で撮影が終わるけれど…流星はまだまだ続く。
そんな流星のことが、昨日から気になって仕方がなかった。
嫌がられるけれど、あのまま放っておくと絶対良いことなんてない。ましてや最悪体が悲鳴を上げてしまう。
俺の撮影は終わったし…この後あっちの現場に寄ってみよう。
そう思っていた矢先のこと。
ブーッブーッブーッ…
ん?マネージャーさんが慌ただしい。
なんか合ったんか?
倒れた!!?
そ、そんなっ…
恐れてたことが現実になってしまった。
マネージャーは取りあえず事務所に連絡をしてからと言うことで、俺が先に流星の現場へと向かう。着替えもせずに白衣のままで。
はあっ…はあっ!
どこや…っ
上のフロアの24ゲート。
右から3番目の角を曲がって真っ直ぐ…
あそこやっ!!!
あそこの人だかり…きっとそうや。
その場に駆け寄ると…
倒れて荒々しく息をしながら意識を手放している流星が、スタッフさんたちに囲まれていた。
顔は赤過ぎるくらいに熱っており、見るだけで熱があるのが分かる。
予想通り、無理しすぎたってわけか。
…あんたはいつもそうやん。
変に焦って…
自分の限界を超えてまで、自分を苦しめてしまうんよ。
そう言い残して…頭を下げる。
俺はすぐさま流星を抱き抱えて、マネージャーさんの元へと向かっていった。
早く病院に連れて行かないと。
流星side
体が暑くて…気分が悪い。
これは絶対僕のせい。寝ずにセリフを覚えて体を休めてなかったから。
でも、そこまでしないと…迷惑かけちゃうし!
“僕にお医者さんなんて無理だったんだよ”
…そんなこと…ないっ!
で、できるもん。
あんなにセリフも覚えたのにっ。
なのに、なのにっ…。
違うって言われた。
どうして良いかわからない。
グスッ…
夢の中なのに涙が出るなんて…
そして誰かが僕の顔の涙を拭ってくれる。
この綺麗な手…細くて長い指。
僕の大好きな人の手だ。
そう思って…目を開けると
目の前にいたのは…白衣姿の大ちゃんだった。
何で大ちゃん?
僕撮影中のはず…
もしかして…倒れちゃったの?
薄目で周りを見渡すと…撮影現場じゃない。
僕の家でもない。
ここは…
39.2‥
何これ高すぎ。
そんなことを言われて悔しくて。
でも、やっぱり僕には大ちゃんがいないとダメなんやって…そう思っちゃって。
布団をばふっと頭まで被ってしまう。
そんな僕を見て、また大ちゃんはやさしくしてくれる。
でも、でもっ!!
…本音が出ちゃう。
…辛くて涙も出ちゃうよ。
でも、そんな僕を大ちゃんは優しく見つめてくれ
また涙を拭ってくれていた。
…確かにそうなのかな。
僕はずっと大ちゃんと比べて、同じくらいかっこよくって思ってた。
けれど…僕が演じる子は…ちゃんと見てみると、エリートでもなければ、キッツイ正確でもない。
どちらかといえば…ホワホワして半人前。
そんなこともわからずに…ずっと突っ走ってきたのか。
だから…監督さんも違うって。
やっと…分かった気がする。。
ぽん
ぽろ…ぽろぽろ…
言われてみればそうなのかも。
大ちゃんと同じくらいのお医者さん!!って思ってたから。
役も違うし、人も違う。
なのに…僕は。
同じになろうとしてたみたい。
僕にしかできない役か…
大ちゃんの優しい手が頭を撫でてくれると、安心したのか涙が止まらない。
体の辛さも合って…今までの強がりが嘘のように溶けていくようだった。
そして…体は正直で…
安心を求めて…大ちゃんの、手を握ってしまう。
ぎゅっ…
そう言って両手を広げてくれる。
あの時僕が突き放した時のように。
大ちゃん…白衣のままだから、着替えもせずに僕を連れて帰ってきてくれたんだ。
白衣の大ちゃんは…やっぱりかっこ良い。
本当のお医者さんみたい。
セリフを言っている姿も…実はドキッとしちゃったんた。
でも、いつもは辛いことがあると必ずぎゅっと抱きしめて…安心させてくれる大ちゃん。
これがあると不思議とどんなことも乗り越えられる。
それを僕は…お医者さんだから!って跳ね除けてた。
甘えちゃダメなんだって。
でも。違うよって、大ちゃんが教えてくれた。
…別に。お医者さんも、甘えたって良い。
だってそれが僕なんだから。
無理してカッコつけなくなっていいんだっ。
だから今は…
ぎゅっ…
思う存分甘えたい。
ぽんぽん…
大ちゃんのひさしぶりのハグに癒されて…
熱が下がるどころか余計に上がってしまいそう。でも…良いんだ。
このバグが…僕にとっては充電なんだから。
大吾side
流星を抱きしめてあげて…しばらくすると、また眠りについてしまった。
病院に連れていった結果、体の疲労と睡眠不足が原因で…倒れてしまったみたい。
流星のマネージャーが言うには、ここ最近コン詰めてセリフを覚えてたって。
まるで誰かに追われているかのように。
多分…同じ研修医役として、俺と比べてたんじゃないかなぁって。
…。
俺の前に寝ている可愛い研修医。
現場で倒れて、そのまま連れて帰ったから、流星も白衣姿のまま。俺も白衣着てるけど。
ほんまに白衣の天使やん。
安心したのか…寝息をゆっくりと立てて静かに眠っている。
これでええんよ。
…これからも、一歩ずつやって行こな。
結局その日は俺も流星が心配で、そっと隣で眠り…研修医のまま2人で夜を明かしたのだった。
そして…数ヶ月後。
今日もグループの楽屋は賑やかで、最近の話題は俺の映画とそれに合わせたドラマについてが多かった。
メンバーも明日見てくれるって言ってくれて、これほど嬉しいことはなかった。
流星も…あれから無事に復活して
順調に撮影を、進められているらしい。
役も流星なりに掴めたらしく…もう俺も心配はしていない。
まあ、いまも隣で台本を、読んでるんやけどね。
あの夜2人で過ごしたのは俺と流星だけの秘密。でも実は…あれからよくうちに充電をしに来ることもあるんやけどね。
全てが上手い方向へと向かっていると思っていた時…
ある情報雑誌の1ページ。
そこに写っていたのは…
流星の白衣姿を陰ながら見ている俺の写真。
そしてあの、流星が倒れた時に、寝ている流星を抱き抱えて運んでいる写真も…。
な、何やこの写真はっ!!?
こんなところだけ切り取られたら、俺がまるで流星をストーカーしているように見てるし…
変態扱い受けてるやんっ!!
うわっ…流星も引いてるしっ!!
な、何で…
せっかくエリート医者だったのに!
こんなことになるんよっ!!
その後も…メンバ目に詰め寄られて。
俺の悪事がバレてしまったのであった…
Naomi様、お待たせしました!
様々な物語で流星を痛めつけてる私ですが…発熱など、
あまり体調不良を書いたことがないため、すごく新鮮な気持ちで書けました☺️
そして、たまたま研修医被りと言うことでそちらを題材に。
お待たせしてすみません!
リクエストありがとうございました!
また機会がありましたら、是非お待ちしてます!













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!