阿部亮平は悩んでいた。
そして、廊下に立ちすくんでいた。
ゆり組に励まされ、アドレナリンドバドバで
駆け出した1分後である。
何をすればいいんだ?
冷静になって考えてみると、
自分が何するべきなのかもわかっていない。
ごめんなさい、翔太、舘様…。
佐久間と、次のキスガチャについて
話し合うべきだろうか。
同意さえ得れば、キスできるもんな…。
おっと危ない。このままだと暴走しかねない。
落ち着け俺。
ふぅー、と深呼吸する。
そして、佐久間を探して歩きだした。
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そうして阿部ちゃんが歩きだし、
ゆり組が回想にふけっていた頃-。
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俺は楽屋に正座していた。
目の前で仁王立ちしているラウールは、背の高さも相まってほんまに怖い。ほんまに。ちぎられそう。
急に名前を呼ばれ、俺は背筋を伸ばす。
口元は笑っているが、目が全く笑っていない。
視線を合わせるのが怖くて、床を見つめる。
ラウールはライブが終わってからずっとこの調子。
俺がオレンジKISSの音を促したから…。
少し離れて見守っていた照兄がぼそっと言う。
ラウールは両親の方を振り向き、口を尖らせた。
阿部ちゃんとさっくんのキスの邪魔をした俺が、許せない様。
無自覚ながら申し訳なく、うつむく。
ん?
突然の情報にあたふたする。
全くわからんかった。え?そうなん?
穏やかな声が後ろから聞こえて、顔を上げる。
めめの後ろから、ひょこりとピンク頭が覗いた。
横に並んださっくんは、落ち着きなく視線を泳がせている。
ラウールが膝から崩れ落ちる。
息子の失言にあたふたしている奥さんをよそに、照は苦笑いを浮かべた。
そして、めめに向かってぐっと親指をたてる。
めめも小さく返した。
一体何がなんだかわからへん。
ようやく口を開いたさっくんは、いつも通りのはっちゃけた顔をしてはいるが、若干耳が赤い。
ぶんぶんと頭を振っているラウールはおいといて。
この場で、さっくんが阿部ちゃんに想いを寄せていると言うことを知らなかったのが自分のみだと気づかされ、ショックを受けた。
さっくん、口調はふざけてるけど…
床に突っ伏す。
さっくんの声のトーンは…本気や。
俺はなんてことをしてしまったんだろうか。
そりゃラウールも怒るわ。
人の恋路を邪魔するのは最低や。
無自覚は時に罪になるって、誰かが言ってるの聞いたことあるし。
さっくんをまっすぐ見ることができず、
俺は膝の上で握りしめた自分の拳を見つめた。
関西弁は難しいです。
変なとこあると思いますごめんなさい…
今回もありがとうございました!



















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!