薄ピンクの桜に対比するような青い空。
綺麗に整備された地面では綺麗な新緑が視界に入る。
4月にしては強く照った太陽にいやでも今後の気温を想像させられる。
それでも今日は入学式。
全国でも120人しか選ばれることのないこの緑秦学園の入学式は、寮が学校の近くにあることもあり朝早くから始まる。
本当だったら準備万端で今頃は教室で自分の席についている頃だった。
そう、俺の予定ではそうなっていたはずだったんだ。
しかし今視界に入るのは綺麗な教室ではなくちゃんと手入れの行き届いた花壇。
あろうことか、俺は高校の入学式に遅れそうになっていた。
これが他の学年の入学式ならまだ許されたところはあるが、生憎今日は俺達新1年生の入学を祝う日。
初日には自己紹介もあるだろうからここで遅刻したら悪い意味で他の人の印象に残ってしまう。
そんなふうに焦っていても走る速さは変わらない。
むしろ体力がなくなってきて減速してきている。
こんなことで自分の体力のなさを実感するのは嫌だが、後悔先に立たず、今後悔してももう遅い。
今はひたすら走って遅刻しないことを目指せばいい。
先生に見つかったら色んな意味で終わりだが、先生の方も入学式の準備などで忙しいのか運よく校舎の外どころか廊下でも見かけなかった。
あとは教室に入るのが間に合うかどうか。
きっと他の人は来ているだろうから誰も座ってない席に座れば問題ない。
こっそり持ってきた腕時計を見ればあと1分。
教室はもうこの廊下の先。
ラストスパートだ。
運よく席も後ろの方。
特に他の人に違和感を感じられることもなく席につくことができた。
席に座った瞬間教師が入ってきて、入学式の説明をされる。
先生の説明を聞きながら息を整えていると、隣の席の女子生徒に話しかけられる。
そうして聞こえてきたのは何度もめめ村で聞いた声。
落ち着くようなアルトボイスにハキハキとした喋り方。
お互いがお互いの活動名を言い当て、数秒間驚きのあまり静止する。
同じ高校に入って、同じクラスになって、席が隣同士になる。
そんな確率はいったいどれだけ低いのだろうか。
せっかく1から入学式の説明をしてくれている先生の話も全く耳に入ってこない。
気になることはあるが、これ以上お互いに詮索するのはやめておこうという無言の同意の後、体を前に向ける。
年上じゃなかったのか、本当にガンマスさんなのか、色々聞きたいことはあるがそれは後回しにする。
寮に帰ればいくらでも聞く手段はあるのだから。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!