自分がバタバタ探しても見つからなかった書類を
ものの数十秒で探し当てたカルノに称賛を送り
翠はソレを受け取って書庫を出た。
……追い出された、ともいえる。
ファイルを抱えて館の中を走った。
4階建ての館は、ちょっと広すぎる。
ケルン一家の部屋がある廊下まで遠すぎるのだ。
ちょっと面倒だと思うが、
各自室があるのはとても嬉しい。
翠のために用意された部屋に
自分で家具や小物を並べていくのを見ると
何とも言えない満足感に浸される
自分だけの部屋。
自分だけのもの。
私は所有物ではない。
私が所有者なんだ。
そう思える。
扉を開けると、いつも通り不機嫌そうなアハト。
翠はあまり気にせず、明るい笑顔を振りまく。
部屋から追い出された翠はデジャヴを感じる。
……役に立ちたいだけなのだが。
仕方なく戦闘訓練でもしようと
階段を下りている最中
ダルヴァの声が前から聞こえてきた。
願ったり叶ったり。
翠は意気揚々とその提案に乗った。
戦闘訓練が出来そうな人を探しに
館の中を見て回ることにした。
えいえい。
みんなは狭くない自室をいただいていますよ
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!