第3話

考えすぎちゃう①
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2024/06/10 08:10


 「__いいか? 260年続いた江戸幕府の歴代将軍は、家康、秀忠、家光____……」









 先生の言葉が、まるで呪文のように聞こえてくる。















 前の世界で死んで、この世界の小学校に通っている。という設定の私・赤羽あなたの下の名前はあくびを噛み殺しながら、黒板をぼんやりと眺めていた。















 歴史は得意だ。けれど、小学校でやったことをまたやることになるなんて。そんなこと、口が裂けても言えない。









あなた
(将軍名前似すぎでしょ……)





 そんなことを考える。
















 だめだ。このままだと本当に眠ってしまいそうだ。















 眠気を振り払うように、教科書のページをめくった瞬間______。















 チャイムがなった。









 「じゃあ、今日はここまで! 帰っていいぞ!」





あなた
……やっと終わった……



 先生の呪文詠唱が終わったら、クラスメイト達はランドセルを背負い、それぞれ教室を出る。















 それが視界に入った私も、ランドセルを背負って廊下に出る。










あなた
……




 正直、まだわからないことが多すぎる世界で、生きるはまだ難しいと思う。















 「先は長いな」という言葉を飲み込んだため息をつき、私は階段を下って、一階の廊下に出ようとしたその時のこと。









あなた
おっと!
?????
わぁっ!



 不意に何かが胸に飛び込んできた。















 咄嗟に手でそれを受け止める。









あなた
大丈……え?




 「大丈夫?」って言おうとした私の口は、そこで止まってしまった。














 それもそのはず。















 青いジャケットに赤い蝶ネクタイ。グレーのズボンにメガネをかけているその少年に、私はいやほど見覚えがあるからだ。









?????
お姉ちゃんは大丈夫……?
あなた
あ、うん……君こそ……平気?
?????
うん! ボク怪我ないよ!




 なんとか会話はできたけど、ここからが重要。















 この人物は、私がついさっき見たあの漫画の主人公だから。
あなた
……



















あなた
ちょっと待ってッ!?!?
?????
ッ!




 そんな声を出すと、目の前の少年はびくりと肩を揺らした。















 それでも、私の思考は止まらなかった。









あなた
(エ、ゴメンナンダロウ……これ詰んだくね!?(((
第三者から見たら普通の助け合い絆ストーリーみたいな感じだと思うけど、これ相手が相手なんだよ!! 関わったら死亡フラグ1000%になるフラグだよ!!((( 仮にこんな大声出しちゃったけど、完ッッッ全に怪しまれる未来しか見えない!! ていうか今はそんなこと言ってる場合じゃないし? ここから先の犯罪巻き込まれ率という確率は想像を絶するし? この子と関わったらもう無事でいられるかも怪しい!?((( )



 全力で心の中のトークしていたら、少年が心配したような声で言ってきた。









?????
えっと……お姉ちゃん大丈夫?
あなた
え……あ、考えすぎちゃってた……




 やばい。完全に怪しい人って思われてるよ……。















 不甲斐ない……。穴があったら入りたい……。









あなた
……
?????
……



 沈黙の15分クォーターが続いた(((















 私は再度、思い切り壁を力任せにブッ叩こうかと思ったけど、その思考に至る前に、少年が声をかけた。



















?????
ねぇ、お姉ちゃんって何年生?
あなた
え?



 ふとそんなことを聞いてみた。
















 あまりの急な質問に、耳を疑う。









あなた
あ、えっと……高こ……じゃなかった、6年生……



 危ない。あと少しで高校2年生と言ってしまうところだった。









?????
……










?????
へぇー! ボクよりお姉さんなんだね!
あなた
あ、っはは……そうだね……はは……




 いえない。














 目の前にいるこの可愛らしい少年が、一瞬すごく冷たい目で見てきたことを。















 言っちゃえば、怪しむ目で。















 目が合った瞬間、私の背筋が凍りつきそうなくらい血の気が引いた気がした。









あなた
えと……キミ、名前は……?



 この空気をなんとかして破りたくて、私は思い切って聞いてみた。









?????
……ボク?












江戸川 コナン
ボク江戸川コナン! お姉ちゃんは?
あなた
あ、赤羽あなたの下の名前……よろしくね

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