第19話

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2022/12/20 13:12

【緑谷 side】



切島 鋭児郎
主犯格はオールマイトが何とかしてくれる!
切島 鋭児郎
俺達は他の連中を助けに行こうぜ!!
轟 焦凍
………?
轟 焦凍
緑谷?



違う、違うんだ。

僕だけが知ってるんだ。

危険度で考えればモヤの方だ。

オールマイトは恐らく、″限界″を超えてしまっている。

モヤに翻弄されれば、きっと……………



主犯格の死柄木が、オールマイトに向かって走り出した。

動け、僕の体……!!

このままじゃ、オールマイトがっ​───────


緑谷 出久
っ、オールマイt…
柊木 あなた
待って、緑谷くん



僕がワンフォーオールを使って飛び出そうとしたその時、ふいに手を掴まれた。

聞こえた声は、あなたさんのものだった。

ダメだ、このままじゃ本当に間に合わな​───────


柊木 あなた
大丈夫。もう、間に合ってる



あなたさんはそう言った。

何が大丈夫なのか。何がもう間に合っているのか。僕には分からなかった。

死柄木の手がオールマイトの眼前まで迫ったその時。



パン、という音と共に、死柄木の手が撃ち抜かれた。

USJの入口の方を見れば…………


飯田 天哉
一年クラス委員長飯田天哉、ただいま戻りました!!!



大勢のプロヒーローと共にそう言った飯田くんがいた。

僕は一気に安心が押し寄せてきて、足の力が抜けて座り込んだ。


柊木 あなた
…っあ、



そのとき、後ろにいたあなたさんが小さく呟いたと思えば、後方からパタリと倒れる音がした。




【あなた side】

切島 鋭児郎
あなた!?



斜め後ろに倒れた体を支えられず、背中に衝撃が走った。

いや、痛い。コンクリート!!!

ってか、私倒れた???


切島 鋭児郎
大丈夫かよ!?
柊木 あなた
………あー、



切島が駆け寄ってきて、ゆっくりと体を起こされた。

そのまま切島の腕に全体重をかける形で支えてもらった。

いやー、まじ助かる。正味動けない。


ってか焦ってる切島の顔可愛いな。下から見てもイケメンじゃねぇか!!!

マジで、イケメン見るだけで回復するわ。


…あ、そんなこと言える状況じゃないって??

うん、私もそう思う。

だって身体中痛いし、貧血でクラクラするし。

…………あ、吐きそう。


柊木 あなた
……ん、っぐ
切島 鋭児郎
っは、血、!?
緑谷 出久
え、え、?
爆豪 勝己
っ、おいてめぇ、!



あごめん、そんな焦ると思わないじゃん。

ただ血吐いただけだよ???いや、大惨事か。

ってかやべー、貧血。出血多量で死にたくないんだけど??

でもイケメン達が心配してくれてるこの中でなら死んでもいいかも。

いや、ダメだわ!!!(一人ツッコミ)


切島 鋭児郎
お、おい!あなた、大丈夫か!?
柊木 あなた
ん、全然大丈夫。多分。
爆豪 勝己
その状態で大丈夫なわけあるか
柊木 あなた
え、心配して、くれてんの!?
柊木 あなた
うわ、もう死んでもいいわ
緑谷 出久
と、とりあえずヒーロー呼ばないと!!
柊木 あなた
あ、無視、なんだ



軽口叩けるからまだ大丈夫なんだけど???

……いや嘘です、結構やばいです。

これからどうやって高専まで帰んの??死なない??

ごめん、さっきよりも絶体絶命かもしれない。うん。


???
あれ、もう終わってるの??



疲れで目を閉じかけたその時、ずっと聞きなれた声が聞こえた。

目を開くと、目の前にはウザったいほどにイケメンな白髪が立っていた。







​───────あぁ、本当にこの人は。

私がピンチになった時には絶対助けてくれる、うざいほど頼りになる人なんだよ。









柊木 あなた
……五条、さん
五条 悟
やっほーあなた。ボロボロじゃん?ウケる
柊木 あなた
どこをどう見たらウケんのか教えて欲しいわ
五条 悟
えー、全部??
柊木 あなた
死にたい??
五条 悟
怒んないでよー、助けに来たんだから



この人ホントに今すぐにでもぶっ飛ばしてやりたい。

まぁでも、本気で心配してくれてる部分もあるだろうし??


五条 悟
僕やることないねー。帰ろっかなー



​─────あるだろう、し??


柊木 あなた
……………
五条 悟
うそうそ!!拗ねないで??
柊木 あなた
拗ねてない。呆れたの。
五条 悟
ごめんって〜
五条 悟
ほら、特級って聞いたからさ??あなたの為に飛んできたんだよ!!僕。
柊木 あなた
………そ、
柊木 あなた
まぁ、来てくれると、思ったから
五条 悟
何それ、信じてくれてたの!!?
五条 悟
嬉しい!!!恵に自慢しよー



言い返してやろうかとも思ったけど、そんな元気すらなくてやめた。

呆れるほどにウザイしキチガイだけど、

呆れるほどに生徒思いなことも、知ってるから。



だから、五条さんに抱き上げられたら安心しちゃうんだ。

でも来るの遅かったから、次起きたら一発殴ろう。

そう思いながら、私は意識を手放した。





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