こいつはもう終わりかな
そこまで本気になられても困るし
スマホのトーク履歴から 高梨雅志 の名前を消した
時刻は23時48分
私も華の大学生ライフを送りたかったが
高校卒業と同時に家を出た私には
金銭的にも生きていくだけでギリギリだった
そんな中、自分の顔の価値はよく理解していた
トーク履歴に並ぶ男の名前をスクロールしながら
呟く
時間も丁度終電間際
適当に引っ掛けて一晩過ごそうと決めた矢先
モデルよりも目を引く高身長に
髪の白と反した黒づくめの服
この人だと本能的に決めた
真っ黒なサングラスの奥から除く青い瞳を見つめて
とびきりの営業スマイルで話しかける
時計の針が動くと同時に
終電の発車する音が辺りに鳴り響いた
わざとらしく口に出す
頭が追いついていない私を放って
お兄さんは近くに止まった車に乗り込んだ
私の逆ナン不敗記録があんな奴に破られる
そう思うと
私の言葉にお兄さんは窓から顔を覗かせた
なによりこのままじゃ私のプライドが許さない
そいつは開けた窓から1万円数枚を投げつけてきた
なにこいつ
こいつの言うことは間違っていない、けど
男が投げつけた1万円を全て拾い
車内に向かって窓の隙間から投げつけ返した
さっきまで綺麗だと思っていた顔も今は見たくない
目の前の車が音を立てて走り去っていった












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。