そう言ってきょーさんは何か言おうとするが、目をグルグルするだけでその口からは何も発せられない。
ぺんちゃんのその一言できょーさんはギクリ。更に目をグルグルさせる速度を速める。
みどりくんに続いて、コンタミさんも口を開けた。
あれこの状況は・・・。
その一言を合図に一斉に静まり返る空間。
きょーさんに一言文句を言いたくなるが、非常に申し訳なさそうな顔をしていたため言おうにも言えない。
僕はさっきの安心感とは違って、ヒヤリとした感覚に陥った。
やっと、やっと、運営の皆やぺいんとと再会出来たのに。
ここまで来て出られる算段が見つからないなんて、思いもしなかった。
そしてしばらくの間、沈黙の時間が流れていた。
手先が冷たい。
ふと、ぺいんとが恐る恐る手を挙げた。
確かにみどりくんお手製のTNTがあれば、出口まで強行突破が出来るかもしれない。
数分前に爆破された壁の様子をチラ見しながら思う。
というか、その方法しか無いような気がする。
そう思った僕は三人の言葉に同意しようとしたが、それをきょーさんが遮った。
静かな声だった。
一瞬空間が静まる。
四人の視線がみどりくんに向く。
みどりくんはどこか歯切れが悪そうな顔をして、目を反らしていた。
みどりくんが言う「嫌な気配」はよく分からないが、あまりみどりくんのTNTは使いたくないらしい。
だがそれは彼にとっても悔しいことのようで。
それだけはみどりくんの、少ししかめた表情と目の動きで感じ取れた。
ポツリと、ぺいんとが呟く。
それに誰も否定することは出来ず、また沈黙の時間が流れていく。
ダメだ、このままだと何も解決策を得られないまま時間が過ぎていく。
と、思っていた時だった。
ふと、らっだぁのバカでかい声が空間を轟かした。
「なにが?」「うるさ」という声が発せられる前に、みどりくんがバカみたいな速度でらっだぁの所へ駆け寄る。
みどりくんはとっても嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねていた。
二人は、部屋に一つだけポツリとある家具の前にいた。
そう、ラン君の死体がしまわれているクローゼットだ。
ちょっと前に僕が開けた時の彼はめちゃくちゃ動揺していたのに、今の彼は違う。
二人の様子から察するに、重要なのはクローゼットじゃなくてその場所にあるようだ。
些か苛立ちを隠しきれないきょーさんの顔を見て、二人は揃って苦笑い。
八十年も一緒にいるとそこまで似るのかとぼんやり思っていると、らっだぁはそのクローゼットに両手を添える。
そして力を入れてクローゼットを横に押すと、クローゼットが置いてあった元の場所の壁が崩れていた。
洞穴みたい、と呑気なコンタミさんの声が聞こえる。
…人のこと言えませんけど、すごい呑気。
さっきの悔しそうな顔をした彼はどこへやら、みどりくんはウキウキした様子で崩れた壁の方に向かう。
そこで彼は崩れた壁の穴らしきところから向こうを眺めたかと思うと、右手の手のひらからTNTを生み出し、左手の手のひらからはチャッカマンを生み出した。
ちなみに生み出すと言っても、気づいたらみどりくんがTNTとチャッカマンを持っていたため、どのような原理なのかは全く分からなかった。
ただの人間である僕にはそういうことを理解するのは不可能なので、無視するのが一番である。
そしてみどりくんは僕達が彼よりも後ろに下がったことを確認すると、慣れた手つきでTNTの導火線部分にチャッカマンで火を点け、崩れた壁の暗闇へ放り投げた。
遠くで、ジジジ…と導火線が燃える音が聞こえる。
数秒そんな音が続いた後、ボンッと本日二回目の爆発音が鳴った。
カラカラと、爆発して飛んできたコンクリート片が僕達の方にまで転がってくる。
みどりくんはそれを見て一瞬険しい顔をしたが、すぐに元の真顔に戻って随分大きい緑色の魔女帽子を被り直した。
僕達は静かに頷いて足を踏み出した。


















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。