俺は、夢を見ている。
ずっと、不死川を脳内で抱きしめている。そのせいで大学もろくに行けず、教授から『お前はそろそろ現実を見ろ』と、つい昨日言われたばかりだった。
そんな中、俺のスマホが震える。不死川からのLINEだった。
『わかった。いつがいい?俺の予定に合わせてくれたほうがいいかもな』
100年かけて、やっと桜が咲いたような、そんな気分だった。身体が浮遊しているようで、中々足が地に届かない。
夢にも見ていた、この瞬間。春を告げに来たのは鶯ではなく、不死川だった。
俺は興奮気味にキーボードを打った。
『本当か?不死川じゃあいつ行けそうか教えてほしい』
俺はただ、スマホを抱いて嗚咽を漏らした。やっと、不死川に会えるんだ。あんなに愛していた不死川に。やっと。
不死川。不死川はどうしてずっと連絡をくれなかったんだ。そう問いたい気持ちもあったが、今はやめておくことにした。
この時間はただ、桜を見つめていたかった。
一通り溜めた想いを零したあと、俺は久しぶりに前髪を切った。
不死川の事で何も手がつかず、前髪も伸ばしっぱなしだった。
しかし今は違う。不死川は俺を嫌っていなかった。それが分かった今、もう俺に怖いものはない。
待ってろ不死川。俺は今お前のためにすべてを捧げるから。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。