第15話

#15. 知らなかったこと
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2025/11/10 10:00 更新
撮影の合間、楽屋の窓から見える空はどこまでも青かった。
だけど、心の中には小さな影が落ちていた。
最近のあなたの下の名前――
笑ってはいるけど、どこか無理してるように見える。
食欲もないし、顔色も少し悪い。
亮平
なぁ、あの子大丈夫なのかな…
隣にいた共演者が首をかしげた。
??
誰のこと?
亮平
……いや、なんでもない。
言葉を飲み込んでスマホを見た。
“既読”のまま返ってこないメッセージがひとつ、胸を刺す。
その日の夜。
マネージャーとの打ち合わせで、偶然耳に入った言葉。
??
あなたの名字さんって…この前も病院行ったらしいですよ
――病院?
手が止まった。
何かが崩れ落ちるような感覚。
亮平
(風邪とか、そんなのじゃないよな?)
帰り道、夜風がやけに冷たく感じた。
スマホを握りしめながら、迷いながらもメッセージを送る。
亮平
最近元気?ちゃんと休んでる?
数分後、“返信中”の文字が点滅した。
.
うん、大丈夫。ちょっと疲れてるだけ
それだけ。
短い言葉が、かえって不安を大きくする。
亮平
 ……嘘だな。
つぶやいた声は、自分でも驚くほどかすれていた。

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