撮影の合間、楽屋の窓から見える空はどこまでも青かった。
だけど、心の中には小さな影が落ちていた。
最近のあなたの下の名前――
笑ってはいるけど、どこか無理してるように見える。
食欲もないし、顔色も少し悪い。
隣にいた共演者が首をかしげた。
言葉を飲み込んでスマホを見た。
“既読”のまま返ってこないメッセージがひとつ、胸を刺す。
その日の夜。
マネージャーとの打ち合わせで、偶然耳に入った言葉。
――病院?
手が止まった。
何かが崩れ落ちるような感覚。
帰り道、夜風がやけに冷たく感じた。
スマホを握りしめながら、迷いながらもメッセージを送る。
数分後、“返信中”の文字が点滅した。
それだけ。
短い言葉が、かえって不安を大きくする。
つぶやいた声は、自分でも驚くほどかすれていた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。