放課後、二人で帰ろうと玄関に足を進めていると、突然後ろから声をかけられた。
焦っている様子の男子の背中を擦りながら顔をのぞき込むスニョン。
彼が誰なのか、検討はついている。
イソクミン。生徒会役員の子だよね。話したことは無いけど、何回か見かけてた。
知ってるんだ。
スニョンと顔を見合わせて、それがどうしたのか、という顔をする。
V高だから……ちょっと引っかかるには引っかかるけど、ソクミンくんの友達なら、彼に用があったんだろう。それの何がおかしいのか。
それを聞いてなんの事だかはっきり思い出す。
おーいー!なんてことを言ったんだソクミンくん!
私たちほぼ初対面だよ!?そんな、前から知り合いでしたみたいなノリで……
わんこみたいな純粋な顔でこちらを見つめられちゃ、行くしかないじゃないか。
ギクリ。私はないけど……ね。
いっちばん気まずくなってる人ここにいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!