第13話

決心
216
2025/07/07 10:00 更新

あの時の屋上に、僕らは戻ってきた。





日はもう沈んでしまって、少し肌寒くなってきた。





何処かでヒグラシが鳴いている。






結局さ、僕、何が辛かったんだっけ?
さあな。俺もあんまり覚えてない
けど、死んだ程辛かったことは覚えてるよ







____辛かったことを忘れたなんて、本当は嘘だ。







現実の世界で何があったのか、僕は徐々に思い出しつつあった。








心無い言葉や多忙で、皆が目に見える様に壊れていって、心も壊れて、でも誰にも言えなくて。








“死ぬこと”が、唯一の逃げ道だと思っていた。









なのに今___その“逃げた先”にいるはずの自分が、なぜか苦しくてたまらない。









“ころんって、盛り上げ役だよね”






“うるさいけど、いると場が回るよね”










そんな声が、風に乗って聞こえてきた気がした。








ねぇ、さとみくん
僕、すとぷりで居ていいのかな?





さとみくんが微笑む。







…お前、それ本気で聞いてたらヤバイぞ


…そっか




何ともさとみくんらしい答えだ。






さとみくんも、もう強がんないでよ?
___え
いや、バレてないとでも思ってたのw?







彼は、アンチから逃げなかった。








最後まで、リスナーにもアンチにも、そして僕らにも。








弱音を一言も漏らさなかった。









____だから、勘違いされたのかもしれない。









彼は現実の世界での最後、アンチの標的になっていた。










彼らアンチは、ただ壊れないおもちゃが欲しかっただけなんだろうけど。







ッまぁ、そうだよな…
俺はきっと、強がることでしか自分を守れなかったんだ











___帰ろうか
うん、帰ろう







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