【猪俣周杜side】
目が覚めると、薄暗い仮小屋のような部屋にいた。
俺と大輝は椅子に縛り付けられていて、口にガムテープまでされていたのだ。
何とかしてここを脱出しなきゃ。
だが、縄はギッチリと巻かれており、大輝はまだ気絶してしまっている。
大輝も目覚めて、今の自分の状況に驚く。
そして目の前に、俺たちを連れ去ったと思われるあの人がいた。
そして口のガムテープをペリペリと剥がす。
汗がタラリと流れる。
連続殺人事件って、将生くんが注意してくれたあれ?
ってことは、今目の前にいるこの人は。
彼は恐ろしく不気味な笑みを浮かべる。
すると、奥でキラリと何かが光る。
そして彼が出してきたのは、大きなナイフ。
体の体温が下がって、ガタガタと震えるのがわかる。涙も流れてゆく。
彼の瞳を見て、悟った。
説得は、無理だ。
俺の目の前に、ナイフが構えられた。
彼はナイフを振りかぶった。
ガギィン!!!!
痛みがこない。
俺はおそるおそる目を開けた。
そこにいたのは、謎の人。
黒のローブに身をまとっていて、仮面まで黒色。
だが、左目の位置で何かがキラリと光っている。
そしてその右手には、大きなナイフが握られていた。
声はボイスチェンジャー越しで、肉声は分からない。
その人は俺たちの縄を切ってくれた。
俺たちは一目散に逃げ出した。
後ろを振り向く暇なんてなかった。
そして気がつけば。
俺たちは、警察の前にたどり着いていた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!