その夜。
眠れなかった。
ベッドに入っても、目を閉じても、
あの顔が浮かぶ。
――ウォニョン。
似ていた。
信じられないくらい。
でも違う。
分かっている。
分かっているのに。
ぽつりと零れた言葉に、自分で驚く。
でも会いたいのは、あの人じゃない。
もっと前から、ずっと。
会いたくて、会えなくて、
諦めたはずの人。
そのとき。
部屋の空気が、ふっと揺れた。
カーテンがわずかに動く。
窓は閉まっているのに。
ゆっくり体を起こす。
心臓が妙に騒がしい。
部屋の隅に、影があった。
最初はただの暗がりだと思った。
でも。
その影は、少しずつ形を持ち始める。
輪郭ができる。
色がつく。
光が宿る。
そして――
そこに、立っていた。
懐かしい姿で。
声が震える。
夢じゃない。
目も覚めている。
でも、現実とも思えない。
んアンユジンが、そこにいた。
あの日のままの姿で。
優しい目で。
少し困ったような笑顔で。
声が聞こえた。
はっきりと。
耳元じゃない。
頭の中でもない。
確かに、そこから。
涙が一気に溢れる。
声が震える。
ユジンは少しだけ目を伏せた。
その言葉が、胸に刺さる。
信じられない。
でも、否定もできない。
だって。
何度も感じていたから。
気配。
声。
風。
ユジンはゆっくり近づいてくる。
一歩。
また一歩。
怖くない。
むしろ、懐かしい。
泣きながら笑ってしまう。
やっと、言えた。
ユジンが微笑む。
距離は、もう手を伸ばせば届くくらい。
思わず腕を伸ばす。
触れたい。
確かめたい。
本当にいるのか。
指先が、ユジンの頬に触れる――
はずだった。
すり抜けた。
空気を掴む。
何もない。
もう一度、触れようとする。
でも同じ。
触れられない。
そこにいるのに。
目の前にいるのに。
絶対に届かない。
声が震える。
ユジンは、少しだけ寂しそうに笑った。
優しい声。
胸が潰れそうになる。
涙が止まらない。
もう一度失うみたいで。
もう一度、遠くに行かれるみたいで。
必死に手を伸ばす。
ユジンは何も言わず、
ただ静かに私を見ていた。
そして。
そっと手を伸ばす。
重なるはずのない手。
でも。
不思議なことに、温かい感覚がした。
直接触れてはいないのに。
確かにそこにあるみたいに。
また、優しく言う。
あの日と、同じ声。
涙が溢れる。
ユジンは少し考えるように目を細めた。
静かな声。
心臓が跳ねる。
チェウォンの顔が浮かぶ。
ウォニョンの顔も。
反射的に言ってしまった。
ユジンが悲しそうに笑う。
あの日と同じ言葉。
胸が締め付けられる。
子供みたいな声が出た。
ユジンは目を見開き、
それからゆっくり微笑んだ。
泣きそうな顔で。
かすれる声
首を横に振る。
その言葉が、刃みたいに突き刺さる。
優しく言う。
涙が止まらない。
声が震える
――無理だよ。
言葉にならない。
嗚咽だけが漏れる。
ユジンは、ただ静かに見守っていた。
まるで、最後の時間を大事にするみたいに。
窓の外では、夜が深くなっていく。
触れられない。
抱きしめられない。
キスもできない。
でも確かに、そこにいる。
愛していた人が。
失ったはずの人が。
そして私は気づいてしまった。
この再会が――
救いなのか、呪いなのか分からないことに













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。