※今回吹き出しが片寄りがちです。 途中で文が多くなるとこがあります。さっきと同じように連絡をし、数分も経たないうちに2人から了承の返事が来た。
ふと視線を感じた気がして、顔を上げる。
どうやら視線の正体は、ほとけっちみたいだった。
ほとけっちはこちらを見ない。だけど声も、体も、微かに震えていた。
自嘲混じりの苦笑を1つ、顔に浮かべた。
ほとけっちの瞳が少し揺らいだ。
俺はそれに気づかないフリをして、言葉を続ける。
らんらんが割り込む隙もなく、そう吐き出した。
今にも泣きそうだな、なんて、場違いなことを思ってしまったのは、君のそれが綺麗だからだろうか。
いるま視点
みんなと会うのはきっと、これでさいごだからと、お気に入りの服に腕を通す。
右手の人差し指、薬指、小指にそれぞれ1つリングをつける。左手には同じく人差し指と小指に1つつけた。
リングにはそれぞれ、ほんのりだがメンバーの色が入っており、柄にもなく口元が緩んでしまう。
朝食を軽く済ませた後、部屋の片付けをした。
片付けを終わらせた後は、まだ時間に余裕はあるが家を出ることにした。
家には誰もいないのにそう呟き、外に歩き出した。
空は皮肉にも雲一つない快晴だったが、微かに遠くから黒雲が見えた気がした。
ガチャ
もしかしたらもうすでに誰かいるんじゃないかと思ったが、誰もおらず、荷物も置かれていなかった。
ふと壁にかけられた時計を見てみれば、針は集まる1時間も前を指している。
メンバーがこんなに早く来ることなんてないので、誰もいないことに納得してしまった。
いつもメンバーに話しかけるように呟く。
返事は、来なかった。
1人だと特にすることもないので、久しぶりにエゴサをすることにした。
当然リスナーからは見捨てられていたし、担降りしている子もいた。
思わず顔をしかめる。それは原因となったツイートにリプをし、賛同をしているアンチコメだった。
証拠があれば訴えることができると言うので、スクショをした後、即通報する。
きっとこれで、メンバーの目に止まる前にコメントは消えるだろう。
その後もいくつか証拠を残した後、通報をしてメンバーが気づかないようにする。
コメントはどれも比較的に新しいものだったので、おそらくシクファミも気づいていないだろう。
あらかた終わった後は、動画のコメ欄のアンチをさっきと同じようにして片付けていく。
勿論その言葉を拾うやつはいない。だから、床に落ちて溶けていった。
俺は、一体誰に向かって言ったんだろうか。
こったろ視点
思わず手を置いていたドアノブを離してしまう。
「ごめんな」と、確かに今、いるまくんはそう言った。
誰に向かってそう言ってんだろうか?他に、人がいるのだろうか?
だが、5分…10分…と経っても、いるまくんと他の人の声は聞こえなかった。
ガチャ
秒針の音だけが、部屋に響いていた。
そう言いどこか遠くを眺める君に、俺は目を離せなかった。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。