第55話

06.忘れていた幸せ
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2026/03/16 13:57 更新
ーーー乃々木公園ーーー
類
ここは────
















ー??年前ー
幼い類
ごちそうさまでした
類の父
おっと…、ほっぺたにご飯粒が付いてるよ
幼い類
えっ、どこ?
類の父
はい、とれたよ
これで大丈夫
?
あら、本当に大丈夫なの?
類の父
え?
類の母
ご飯粒を付けてるのは、類だけじゃないみたいね?
お父さん
幼い類
ふふっ、ほんとだ!
お父さん僕とおそろいだね
類の父
えっ……!、ど、どこに…!?
類の母
こっちの頬っぺたよ
ほら、じっとして?
類の母
はい、とれた。
全く、似るのは野菜嫌いなところだけにしてよね?
類の父
ふふふっ、それはちょっと困ったな〜……
幼い類
あ!ちょうちょだ!
類の母
ちょっと、類!転ばないように…って
類の母
その子、ムラサキシジミじゃない!
待って!お母さんが捕まえるから…!
類の父
ちょっと、母さん…!
幼い類
お母さん!ちょうちょ、お花にとまったよ
類の母
あら……、ふふっ。そうね。
花の蜜が蝶々のご飯だから、ここでお弁当にしてるのかもね
幼い類
お花がお弁当……おいしいのかな?
類の父
はぁ……2人とも待ってくれ…!
類の父
……!
類の父
……あ、そうだ






幼い類
これは、なんのお花?
類の母
これはスミレっていうお花
お母さん、このお花結構好きなのよ
幼い類
すみれ…
類の母
類も生物学興味ある?
幼い類
せーぶつがく……?
類の母
ふふふ、まだ早いわよね
………あら?
幼い類
お父さんドローンとばしてる……!
類の母
あ、類!急に走らないの!



幼い類
すごい! お父さん操作じょうずだね!
幼い類
今のはどうやったの?
類の父
ふふっそれはね……
類の母
公園で、ドローンを、勝手に飛ばさない
類の父
うっ……
幼い類
ふふっ、お父さんがお母さんにしかられてるね!
類の父
る、類〜……
類の母
類も!そんな風に言ったらお父さんガッカリしちゃうでしょう?
幼い類
あ……ごめんなさい……
類の父
はは…大丈夫だよ
僕は、類とお母さんが笑ってくれていればそれでいいのさ……
類の母
私は怒ってますけどね
類の父
ご、ごめんよ…
幼い類
お父さんは、僕が笑うとうれしいの?
類の父
そうだよ。
胸がぽかぽかしてあったかくなるんだ
幼い類
じゃあ僕!いっぱいわらうね!
類の母
……今のドローン操作、家に帰ったらまた見せてくれる?
類の父
ああ!
もちろんだよ!
幼い類
お母さん、うれしそうだね
類の母
あら、そう?
類の母
……でも、そうね。
思わず笑顔になれるかも
類の母
あなた達が嬉しそうだと、お母さんも幸せな気分になれるから
幼い類
……うん!
僕もふたりが嬉しそうだと、すごく嬉しいよ!
プルルルル
類の母
あら、……ごめんね。類、お仕事の電話でるから、
幼い類
うん!僕、待てるよ!














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
類
……ここだ
えむ
ほぇ?
類
ここが、母さん達と一緒に来た、花畑だ
えむ
え!?
お花畑っていうか…ちょっと大きめの花壇ってくらいだけど……
えむ
あ!そっか!
類くんもすごくちっちゃかったから、お花畑だと思ってたんだ!!
類
多分、そうだと思うよ。
………勘違いしてごめんね
えむ
ううん!それより見つかってよかったね!!
確かにこの花壇、スミレがいっぱい咲いてるね!
類
うん。スミレ以外にも結構咲いてるね。
こっちはアネモネ……こっちはマリーゴールドかな?
類
ふふっ……懐かしいなぁ……
類
(……あ…)
えむ
えっ、類くん?大丈夫?
類
……いや、ごめんね
類
(あの日のことを思い出すと、少し苦しくなる…)
類
(えむくんがせっかく探してくれたのに、せっかく見つけたのに……、でも、思い出したら…僕は……)
えむ
────でも、そっか!
ここが、類くんの大切な思い出の場所なんだね!
類
……え
えむ
えへへっ……ちょっとだけ嬉しいんだ
類くんはいっつも、自分をぎゅってしちゃってる感じがしたから
えむ
さっき、この花壇を見つけた時……
すっごく嬉しそうな顔してたから
えむ
だから……よかったなって
類
えむくん……
えむ
あっ!ごめんね!!
あたしみたいなよその人が勝手に…!
類
そんなことないよ
類
えむくんが連れてきてくれなかったら、思い出せなかった
類
……小さい頃の思い出も、大切な場所も
えむ
類、くん……
えむ
ふふ、類くん、良かったら教えてくれないかな
昔、ここに来た時のこと!
類
あ……うん
類
ここには……父さんと母さんと、ピクニックで来たんだ
類
母さんは学会とかですごく忙しいのに、時間を縫って来てくれて……
類
父さんは勝手にドローンとか機械とかを操作し始めてよく母さんに怒られててね
類
でも…どの機械も、人を笑顔にできるようなものばかりでね。とても素敵だったんだ
えむ
それってすっごくすてきだね!!
えむ
類くんがそんなに言うのならほんとに凄いんだろうなぁ…。お父さんが作った子守り用のにわとりロボットあるんだよね?
あたしも見てみたいなあ
類
ふふっ、それなら今度持ってこようか
えむ
えっ!いいの?
類
うん。是非、聴いて、見てほしいな…
えむ
あ………
えむ
……うん!ありがと!
類
(────昔のこと、こんなに話したのはいつぶりだろう)
類
(小さい頃のことなんて、長いこと忘れて……)
類
(いや……多分、僕自身が閉じ込めてたんだろうな…)
類
(思い出すと、幸せすぎて……苦しくなるから)
類
(でも…思い出せてよかったな)
類
(これは僕の───大切な思い出だから)
えむ
それにしても、あたしのお気に入りの場所が
類くんの思い出の場所だったなんてね!
えむ
えへへ、ちょっと嬉しいな!
類
うん、僕も
類
ありがとう、えむくん
類
きっとひとりで来ていたら、
今みたいな気持ちでいられなかった気がするよ
類
君がいてくれたから、
昔の思い出を、素直に受け止められたんだと思うよ
えむ
そんな……あたしはなにも
えむ
………そっか
えむ
どういたしまして 類くん

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