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油絵なんて人生初めて。筆なんて持ったの何年ぶりだろうか。その為か、緊張して手が震える。描きたいものの表現の仕方とか、ムラのない綺麗な塗り方とか…周囲のプロ達にアドバイス等、助けを求めつつ、俺を描いていく。
塗りはぐちゃぐちゃだし、折角綺麗に描いてもらった星空が俺がはみ出してしまった絵の具で隠れてしまった箇所が数十箇所程ある。心底申し訳ない…
けど、…案外楽しい。思うように筆は動いてくれなし、もふくん達に迷惑かけてばっかだけど、昔描いた絵よりも人間って分かる気がする。
基準そこかよ…ってなるけど、俺にとっては結構嬉しい。やっぱりプロ達が助けに応えてくれるからだろうか。そのお陰で描いてて飽きる事はなかった。
あ、下絵?を描いて、そこから色付く瞬間とか。初めて色を塗った時、思わず声を漏らしてしまったのを覚えている。
まぁ、塗ることに集中し過ぎて今の有様なんだけど…
俺の絵をベタ褒めし始めるなおきりさん。
宝石でも見つけたかのような瞳で描き途中の俺を見つめている。上記「それに〜」以降は思ったより続いたので割愛する。
音沙汰もなく、いきなり褒め出すもんだから驚いたけど…嬉しいような、恥ずかしいような…
痒い気持ちのまま、俺はなおきりさんに声を掛けた。
苦笑いを済ますとすぐ手を動かし始めた。
見直しも、終わって…
嬉しくて、つい声を上げてしまった。
すると周りから1、2人の拍手が響き、みんなが次々と褒め出す。珍しく皆んな揃って柔い表情をしていた。
プロ達に褒められ、つい鼻が高くなってしまう。
口角が上がっていくのが止められず、少々恥ずかしくもあるが…
改めて自分の描いた絵を見返す。周りの皆んなよりは劣っている、が、それを快く受け入れてくれたのもあるのか、随分立派な絵に見えた。
星空のような目で描いた絵を褒めようとしたなおきりさんを遮るようにシヴァさんが声を上げた。多分、長続きするからだろう。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!