鏡の中の彼は、光の粒を撒き散らしているみたいだった。
激しい音楽が止まった瞬間、スタジオには心臓の鼓動だけが響く。
ソウタくんは、汗で張り付いた前髪を乱暴にかき上げ、荒い息を吐きながら床に座り込んだ。
彼は独り言のように呟いて、鏡を見つめる。
その瞳は、ステージで見せる太陽のような輝きとは正反対の、深い夜の海のような色をしていた。
冗談めかした口調なのに、声の端々には隠しきれない脆さが滲んでいた。
ソウタくんは、ふっと自嘲気味に笑った
パンパンに突っ張った糸が切れたように泣き出すそうた
そうたの横に座り抱きしめるあなたの下の名前。
といいながら微笑むあなた。
部屋の窓から入る街灯のオレンジ色の光に照らされながら帰る準備を始めるそうたの背中を見ながら思う。
当たり前なんて一つもないし
記憶の中の全てが大事














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。