感じたことの無い痛さに意識が飛びそうになるがなんとか耐え、病院に到着した
周りの看護師さんたちが慌ただしく駆け回っているのがわかる
赤ちゃん……大丈夫なの、?
遠くでヨンボガの声が聞こえる
ここまで来てくれてたんだ……
リノヒョンは………リノヒョンはまだ…
そう僕はたくさんの点滴を刺されて酸素マスクまでつけられた
僕がちゃんと息してないと赤ちゃんに酸素がいかなくなって死んでしまうんだそう
お腹に手を当てて無事を祈る
どうか無事に産まれてほしい
赤ちゃんを守れるのは僕だけなのに……
ガラッ!!!
ーリノsideー
心臓がヒュッと音を鳴らしたのはいつぶりだろう
イエナに伝言を伝えられて俺はコートすらぶん投げそのままスンミナの病院まで車を飛ばした
なんで俺がいない時に……
あぁ、今日俺が家にいれば
スンミナを連れて来れば……
そうこう脳内で後悔をしスンミナの病院に到着する
スンミナを助けてここまで連れてきてくれた金髪に感謝をしてすぐに看護師の所に走る
俺の顔を見るなり、担当の看護師も走り始める
そうしてスンミナのいる場所に連れて行ってくれたんだ
思っていたよりも早い出産の計画に頭が真っ白になる
仕事で何十億の契約も揺るがなかった俺が
こんなに冷や汗が垂れるような感覚になるのは初めてだ
そう俺は頭を下げてお願いする事しかできないんだ
スンミナがいる部屋にちゃんと医者と同じような服を着せられて案内される
扉が開いて、看護師から説明を聞くより前に会いたかった姿が見えてそちらに駆け出してしまった
そう俺に気づいたスンミナは痛々しい見た目をしていた
たくさんの管に繋がれて酸素マスクまで……
目にはたくさんの涙を浮かべていて
頭から抱えるようにスンミナを抱きしめる
痛かっただろうに、怖かっただろうに
そんな時に1人にしてしまって申し訳ない
なんて言いながらもスンミナは笑っていた
ほんと、こいつはどこまでも強がりで
本当に耐えぬく奴だからな
ースンミンsideー
たくさんの機会を僕とお腹に繋げられて赤ちゃんの心臓の音も聞こえるようになっている
すぐにヨンボガが救急車を呼んでくれて処置も早くにできたので下から産むか帝王切開かを話し合っているとだけ教えてくれた
ずっと痛いお腹の痛みの中にまた別の痛さが定期的にやってくる
薬が切れたりしてるのかなって思ってたけど
そこで1人の看護師が口を開く
痛みの中頭がふわふわとするのを必死に保ち、看護師さんと会話をする
その時もリノヒョンはずっと僕の手を離さない
そうまた先生たちでの話し合い
はは、問題が発生した時の僕とリノヒョンみたいな…
まるで僕たちの社長室だ
なんて、僕も必死に笑顔をみせた
大丈夫だよね、だって僕だもん
僕なら大丈夫、僕とリノヒョンの赤ちゃんなら大丈夫
きっと助かる
そう思ったんだ
やっぱり、そうなっちゃうか…
でもそれで赤ちゃんが救えるなら
そう僕は帝王切開をする事になったんだ
手術室に連れて行かれ、次々と僕につながる管
お腹の痛さで針が刺されているのはほぼ感じ取れない
ただ段々とそのお腹から下の感覚が薄れていく
麻酔で麻痺したお腹にメスが入れられお腹が裂かれたらしい
全然わからない
赤ちゃんを出して対面してから処置の段階で全身麻酔に切り替える予定なんだそう
もう……お腹の赤ちゃんに会えるんだ
何をされているかも分からない
ただ心拍だけがどんどんと上がっていくのを感じる
お腹に何も感覚がないまま先生達が寄ってたかる
あぁ、多分赤ちゃん生まれたんだな
声、聞こえない……お腹から出るの早すぎたかな…?
そう僕の目の前にお腹から出てきた可愛い可愛い赤ちゃんがやってきた
女の子だぁッ………リノヒョンとの……赤ちゃん…
その姿を見ても現実味がなく、まるで夢のようで
ガラス越しに見守ってたリノヒョンの顔を見る
リノヒョンも口を押さえて見た事ない表情をしてるから
あぁ、ほんとに僕この人との赤ちゃんを産んだんだって
やっと感じたのか
赤ちゃんとは10秒ちょっとほどしか一緒にいれず、すぐに僕には違う薬が投与された
次は全身麻酔になるから、すぐに視界がぼやけて
真っ暗になって………
ーリノsideー
ガラス越しにみるスンミナの姿
ギリギリお腹を切り裂かれてる部分は見えないが、明らかに床が赤色に染まっていくのは目に見えている
全てスンミナの体からでた血だ
看護師さんにそう言われてガラスにへばりつくようにその様子を見る
先生が腕を上げると、その手の中にはすっぽりおさまるサイズの赤ちゃんが入って登場した
え、もう産まれた?早い、早すぎる
中にいるスンミナもキョロキョロと生まれたのか何なのか不安そう
先生が赤ちゃんの背中をポンポン叩き擦ったりしていると
よく聞くような声をあげて泣き出す赤ちゃん
その瞬間、その場の空気が暖かくなるのが分かったんだ
たったの一瞬だったが、スンミナの隣に連れて行かれた赤ちゃんを見て
鼻の奥がツンとする
生まれたんだ………俺たちの子がちゃんと元気に
こちらを向くスンミナと目が合い何とも言えない表情になる
よかった、無事に生まれたんだ
赤ちゃん元気だ………
すぐに俺も中の別室に連れて行かれて生まれたての赤ちゃんを見せられる
スンミナのお腹から出てきた我が子を腕の中で初めて抱きしめる
あぁ………この子に会うために……
この子が俺とスンミナを引き寄せてくれたんだな
そうほっぺを触ると、ふにゃっと動く口
初めての感情に勝手に涙が込み上げる
とんでもなくかわいいかわいい娘を抱く俺は世界一幸せなのかもしれない
そう、後は血が出すぎたスンミナの回復を祈るのみ
どうか無事にスンミナの手術も終えてください
2月20日、スンミナのお姉さんの命日の日に
また新しい家族がこの世に誕生したんだ



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。