第60話

2.13
102
2024/06/26 12:32
猗窩座と杏寿郎がぶつかり合った。
とてつもない速さで、
僕には目で追えなかった。
でも、
杏寿郎の血の匂いが、
濃くなっていった。
僕にとって、
2人は仲間、家族だった。
だから、どちらも応援出来ない。
僕はただ、
炭治郎、善逸、親分、禰豆子を、
避難させることしか出来なかった。
あなた
炭治郎!こっちだ!
竈門炭治郎
煉獄さん!煉獄さん!!
あなた
僕達には無理だ。太刀打ち出来ない。
竈門炭治郎
でも…でも!
あなた
ここで煉獄さんが死んだら、お前たちも死ぬぞ!
竈門炭治郎
あなた
そうなったら、炭治郎、
あなた
お前たちは無駄死にだ。
竈門炭治郎
やだ、やだ!
竈門炭治郎
煉獄さん!!
僕は、
泣き喚くみんなを抱えて、
2人が届かない場所に連れて行くことしか、
出来なかった。
戦う彼らを、
見つめることしか出来なかった。
これが、
今の僕に出来る、
“仲間を守る唯一の方法”
だった。



あなた
頼むから、夜明けまで持ち堪えてくれ…
我妻善逸
竈門炭治郎
嘴平伊之助
我妻善逸
(あなた、今呟いたそれは、どちらに向けた言葉なんだよ…)
竈門炭治郎
(あなたの匂いが悲しくなった。君はどちらを憂いているんだ…)
嘴平伊之助
(子分の…あなたの感覚が2人に向けて、研ぎ澄まされている。お前はどっちを見つめている…)
かまぼこ隊
(あなたはどちらの味方なんだ…)

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