あれから10分。
もうそろそろ朝のホームルームが始まるから
教室に戻らなければならない。
だけど、手持ちの鏡で顔を確認したところ
メイクは落ちているし目は腫れている。
結局、重い足を運びながら保健室へと向かった。
誰にも会わないように願いながら。
こんなときに限って推しと出会っちゃうとは…
運があるのかないのか。
なんか申し訳ないし…
体調が悪いわけでもないのに。
青柳くんは優しく微笑んで
自分の教室へと向かっていった。
結局、早退して家に帰ってきてしまった。
あれから7時間、何をやる気もわかなくて
食事すらとっていない。
外の景色から予想するに、今は午後5時くらいだと思う。
重い身体をおこしたその時、
インターホンが鳴った。
画面に映ったのは、見慣れたオレンジ頭だった。
玄関の扉を開けると、東雲はすぐ入ってきた。
朝の一連の流れ見てたでしょ…
そう言いたくなる気持ちを押さえて
なんとか返事をする。
急に謝られて、なんて返事をしたらいいのか
わからなくなってしまった。
東雲は優しい目で私を見て言った。
こんなときまで下ネタ言ってる余裕ある?
と、さすがの私も怒りそうになったとき
私は東雲に抱きしめられた。
今まで感じたことのないほどの
暖かさに包まれる。
しばらく東雲の温もりに包まれていたら、
東雲が私の目を見て言う。
私は東雲から離れて言う。
下ネタばっか言うし、馬鹿な東雲だけど
一緒にいたら楽しくて…
それは私の初めての親友だからって思ってたけど
たぶん違う。
これは、恋だ。
やっぱり私、ずっと東雲のことが好きだったんだ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。