ものすごく端的に言い渡され、資料を押し付けられる。
部屋を出たあと。
なんか…………
気が重いなぁ。
こんな泥仕事はずーーーーっと続けてきたわけだけど最近は本当にやりたくない。
できることなら、できることなら─────
今回の任務の内容はこうだ。
公安にホークス、シフト・セレナを使ってやっている暗殺などについての証拠写真を持った奴がいると。
そして最近怪しい動きをしている。情報を漏らすかもしれない。
そいつとその家族もろとも殺せ。
目の前が真っ黒に染まった。
こいつ本人は………分かる。
情報を持って、もしかしたらバラすかもしれない。
まだバラしたわけじゃないけど確かに危ない。
ヒーロー社会にとって危険である。
でも、じゃあ、なぜ家族を?
私が祖父母に置いていかれたあの日のことを呼び起こす。
─────おばあちゃん?おじいちゃん?
─────君の力は社会をより良くできる。
─────そんなことより僕たちについてきてくれないか?
怒りと悲しみが腹の奥底から湧いてきた。
私がされたことと同じことを子供に出来ない。
大切な人を無くす痛みを知っているのは、私だけでいい。
今まで、公安に逆らったことなんてなかったけど…今回は。
断ろう。この仕事は辞めさせよう。
公安直属である前に………私はヒーローだ。
思ったことがスルスルと口から出ていく。
これ、本当に私?
私が最近ずっと思っていたこと。
いろんなプロヒーローや雄英の子たちと関わってわかった。
もうこの泥仕事は辞めたい。
できるなら………他の人達みたいなヒーローになりたい。
皆を助けて、笑顔にして、救う。
私も皆が笑顔になり心から嬉しい。
そんな……ヒーローに………
バン!と手を机に叩きつける会長。
私だって……この仕事の重要性はわかってる。でも…!
涙をこらえる。
嫌だよ、やりたくないの。
でも……ホークスが私を殺さなきゃ?
私は部屋を走って出た。
行き先はない。
とにかく走って、走って、走った。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!