善逸 「 ん ... ハッ!!俺今倒れてた!?意識失ってた!?つかあのオッサンどこ!? 」
ㅤ「 うるせぇ大声でオッサンとか言ってんじゃねぇよ!!本人にバレたらどうすんだコノヤロー!! 」
善逸 「 うるさいのはどっちだよ耳元で喋んじゃねー!!つか風すっごいんだけどナニコレ!? 」
不死川の稽古で意識を失っていた善逸は、目を覚ました途端にキーキーワーワーと騒ぎ始めた。
すぐそこに座り込んでいた、同じく意識を取り戻したばかりの隊士と何やら口論をし始めたかと思えば、気を失うまではなかった爆風が吹き荒れていることに気がついた。
ㅤ「 多分、風柱と誰かが打ち込み稽古してるんだろ。さっきから見てはいるが、速すぎて誰かまでは分からん 」
善逸 「 は?稽古?いやいや、絶対柱同士でやり合ってんだろ。柱でもない奴があのオッサンと互角に戦えるとでも? 」
隊士の言葉を聞いて 「 何言ってんの、お前 」 と言いたげな表情を向ける善逸と、それを見て怒った隊士がボコスカと喧嘩を始める。
その時ふと、善逸の耳にあるものが届いた。
善逸 「 ( あれ、この呼吸音どこかで ... ) 」
思い出そうとするや否や、辺りの砂埃がいくらか落ち着き、風もやや弱まってくる。
人の影が見えるようになってきた具合で、砂埃の中から何かが善逸たちの方に飛んできた。
善逸 「 ギャー!!なになになになに!! 」
それにビビって大声で叫ぶ善逸だが、
『 !ㅤ善逸くん、起きてたの 』
飛んできたもの ───── あなたを見てからは、目をハートの形にして全身をうねうねと気持ち悪く動かしだした。
善逸 「 そっかぁ、じゃあ今日からあなたちゃんとひとつ屋根の下で暮らせるんだぁ ... え!てことは結婚!?これはもう結婚ってことですよねぇ!! 」
『 ... 元気だね 』
ンフフ、ウヘヘ、とデレデレしながらあなたと会話を試みる善逸 ───── 否、どちらかと言えば叫んで色々と自己完結しようとする善逸と会話を試みているのはあなただ。
ㅤ「 こらてめ、黄色頭!!この方は〝 柱 〟だぞ?! そんな態度でいると風柱に何言われるか ... 身の程を弁えろ! 」
目を吊り上げてガミガミと叱る先程の隊士だが、その声は善逸には届かない。
しばらく同世代の女子に会えず、厳しい訓練続きの日々だったせいか、以前会った時よりも執拗で煩くなっている善逸に、あなたも引き気味で対応していた。
善逸 「 そういえば、あなたちゃんから幸せの音がする。何かいいことがあったの?もしかして俺に会えて嬉しい!!? 」
『 幸せの音 ... 』
そういえば耳がいいんだっけ、と善逸の言葉に少し考える。
〝 幸せ 〟という言葉を聞いて真っ先に思い浮かんだのは、新品の羽織を手に送り出してくれた自身の師範の姿だった。
『 そうだね。風柱邸に来る前に師範からこの羽織を頂いたの。本当に嬉しくて嬉しくて ... その音かもしれないねぇ 』
善逸 「 かっ、かわ ... っ!!! 」
着ている羽織を、それはもう嬉しそうに顔を綻ばせて見つめるあなたに心を打たれた善逸は、まさに神速の勢いであなたの両手を包み込むように握る。
善逸 「 今までは着てなかった羽織だよね!!本っ当に似合ってるよ!!あなたちゃんの為に作られたって感じですっごい可愛い!! 」
鼻息を荒くして褒めちぎり出す善逸に暫く唖然とした様子のあなただったが、
『 ありがとう、善逸くん 』
善逸がかつて一度も見た事のない、照れたように頬を薄ら染めた笑顔を浮かべて感謝を述べる。
そんなあなたに善逸は無事に鼻血を噴射し、それを知った不死川に屋敷を汚した罰として稽古を倍にされた事は、言うまでもないだろう。
ㅤ善逸難しいヨ ...












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。