第21話

19話 同じ匂い
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2024/06/27 08:00
iw side
スマホのアラームの音で目を覚ます。
岩本照
岩本照
うわ、朝かあ
岩本照
岩本照
ふっか、ふっかぁ
深澤辰哉
深澤辰哉
んん、
岩本照
岩本照
仕事行くよ
深澤辰哉
深澤辰哉
んえ、あと10分
岩本照
岩本照
だーめ!
布団をひっぺがすと寒そうに震える。
岩本照
岩本照
ほらおーきーて
深澤辰哉
深澤辰哉
んう、
無理やり体を起こさせると目が半開きで寝そうになってる。
しばらく揺すっているうちにだんだん焦点が合ってきた。
深澤辰哉
深澤辰哉
起きます、
岩本照
岩本照
そうして下さい。
簡単にパンにジャムを塗ったものを胃袋に放り込むと、身支度を整え始める。
洗濯物は今日は雨が降ってるから部屋干し。
岩本照
岩本照
はい、ワックスこれね、柔らかめが良かったらこっち
深澤辰哉
深澤辰哉
あい
岩本照
岩本照
荷物一旦ふっかんち置きにいくでしょ?
昨日着たスーツとか
深澤辰哉
深澤辰哉
あ、忘れてた。
深澤辰哉
深澤辰哉
そうする。
歯磨きもセットも全部終えて後はスーツ着て、ネクタイ締めて。
そこまで終わって後ろを振り向くと、ふっかも仕事モードの顔をしてるんだけど…

手元がめちゃくちゃもたついてる。
深澤辰哉
深澤辰哉
ネクタイって結ぶの難しくない?
急にやり方忘れるんだけど。
岩本照
岩本照
貸してみ?
しゅるり、とふっかのやりかけのネクタイを外す。
岩本照
岩本照
長めと短めどっちがいい?
深澤辰哉
深澤辰哉
じゃあ、気持ち長めで
岩本照
岩本照
おっけー
さっと結んでやると満足した様子。
深澤辰哉
深澤辰哉
あんがと。
岩本照
岩本照
後は荷物ね
岩本照
岩本照
全部持った?
深澤辰哉
深澤辰哉
持ったあ
岩本照
岩本照
じゃあ行くかあ
ドアを開けると二人で外へ。
夜だけじゃなくて朝も二人分の足音を聞くことになるとは思わなかった。

ふっかの家に寄ると荷物を予定通り置いてまた会社へ急ぐ。
深澤辰哉
深澤辰哉
あっ、
深澤辰哉
深澤辰哉
歯ブラシ忘れた。
岩本照
岩本照
もう置いといたら?
岩本照
岩本照
そしたら何時でも泊まれるじゃん
深澤辰哉
深澤辰哉
お言葉に甘えます。
意外と時間に余裕が無かったせいで、靴の音が忙しなかった。
まだ雨が降らないだけ良かった、と安心した。
いつも通り昼はあのベンチへ行こう、と思ったけど昼は雨が降っていて無理だった。
ぴしょぴしょと雨が音色を奏でて、そこに食堂の人々のノイズが加わると、雨の日の音楽になる。
何だかしっとりと湿った雰囲気に心做しか他の人も静かな気がする。
岩本照
岩本照
今日は俺も食堂の食べる
深澤辰哉
深澤辰哉
確かにお弁当作ってなかったもんね
岩本照
岩本照
うん、
岩本照
岩本照
どーしよっかなあ
岩本照
岩本照
親子丼にしよ。タンパク質取れるし
深澤辰哉
深澤辰哉
決めんの早。
深澤辰哉
深澤辰哉
じゃー俺はカツ丼。
それぞれ買いに行って決めた席に持ってくる。
ご飯を食べているとふわり、とふっかから俺の家のシャンプーの匂いがしてくる。
深澤辰哉
深澤辰哉
なに?
岩本照
岩本照
ん?
深澤辰哉
深澤辰哉
いや、すげえ幸せそうな顔するから
岩本照
岩本照
そんな?
深澤辰哉
深澤辰哉
何考えてた?
岩本照
岩本照
いや、なんでも無い
深澤辰哉
深澤辰哉
何だよ笑
深澤辰哉
深澤辰哉
教えろよ
岩本照
岩本照
ふつーに今日撮れてるバラエティ見んの楽しみだなって
深澤辰哉
深澤辰哉
へぇー、なんて番組?
ふっかと話しながら不思議な感覚に囚われる。

最近俺何か変だ。


関係性も深まってきているのに変な嘘吐くし、こんな事言ったら引かれるかもってビクビクする自分が居る。





お昼が終わったあとでの休憩室でもまたふっかが俺と同じ香りを漂わせているのを再確認すると、


周りに同じ匂いな事がバレるかもしれないと思う反面バレてくれたらいいのにって意味わかんない事を思った。

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