第20話

ymt✖︎am【暖かい場所】
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2025/12/05 15:42 更新















雨。











バイト終わり、店先で立ち尽くす俺に、傘を貸してくれた人がいた。















や ま と
店員さん、傘使いますか?















折り畳み傘を二本差し出してにっこり笑う男性は、常連のサラリーマン。














や ま と
来週も来る予定なので、その時返してもらえれば。









あ む ぎ り
ありがとうございます。

















雨の街に消えていく後ろ姿を、追いかけられなかった。

















あ む ぎ り
この間は傘、ありがとうございました。
















翌朝、お礼のコーヒーと共に傘を返す。
















あ む ぎ り
コーヒーは俺もちで













や ま と
お、じゃあ、ありがたく















この人は何歳くらいだろう。















や ま と
そういえば、店員さん今おいくつなんですか?






あ む ぎ り
えっ












や ま と
あっ、すみません、変な意味じゃないですよ。結構長く働いてらっしゃるなって。











あ む ぎ り
ああ















一瞬心を読まれたのかと思った。
















あ む ぎ り
高一のときからバイトしてて、今大一です。






や ま と
ずっと働いてるのすごいですね。僕は今二十九です。

















十歳差。














恋愛対象には、なれないよなぁ。










 










友達にオシャレなカフェがあるからと誘われて入った店だった。












そこで、カウンターに座るこの人に一目惚れした。














次の日には面接を受けて働き始めた。この人に会いたかったから。


















あ む ぎ り
........そういえば、ご結婚されたんですか?

















今日、彼の左手の薬指に、指輪があった。この間まではなかった。
















や ま と
実は昨日入籍しまして。















メガネの奥で幸せそうに微笑む彼。
















あ む ぎ り
おめでとうございます。

























________苦しかった。


























冷えた空気に歩き出す彼。













彼が帰るのは、愛する誰かのいる、暖かい場所。

















あ む ぎ り
............お幸せに。



















出た言葉と思った気持ちが、真反対で笑ってしまった。


















あ む ぎ り
やっぱり駄目だったかぁ。
















憎いほど晴れた空を仰ぐ。















あ む ぎ り
..............大好きでした。















その日、長く働いたそのカフェを辞めた。









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