第2話

告白
980
2020/04/27 11:09
そして3週間前。

岸さんから告白された。

岸優太
岸優太
俺さ、浮気とかしないよ。


仕事終わりに二人で居酒屋に寄るのは何回目かな。

私も、
ちょっとこれはもしかして脈があるのではないのか???とか
いやいや岸さんはとにかく優しいからな、
優しさが太いで優太さんだからな!!とか
舞い上がる自分を持て余してはいた。

私から誘っても来てくれるのか知りたくて、今日飲みに誘ったのは私だった。

岸優太
岸優太
おー、行くか。
ん?なんかあった?
あなた

や、何もないですけど、
ただ、岸さんと居酒屋、楽しくて…

岸優太
岸優太
えー?
へへ、マジかー。
じゃあー、行こ!
その時の照れたような嬉しそうな顔に、どうにもならないほど好きになってる自分と、怖くて付き合ってる人や好きな人がいるか聞けないで来た自分を再確認した。

今日は、聞いてみよう。
今まで恋愛の話はなぜか出なかった。

入社してすぐの歓迎会で、酔っ払った私は浮気された上にフラれた話を職場の人の前でした上に泣き笑いしてしまったのだ。
岸さんは気を使ってくれてたのかも知れない。

それでも職場の人に生まれた赤ちゃんの話とか、好きな歌手のライブの話とか、学生時代の友達の話とかですぐ時間が過ぎて、岸さんの話してる顔、笑ってる顔を見てると、唐揚げモグモグして、ジョッキぐびぐびして、クーって目つぶるのを見てると、幸せすぎて。



私の前彼の浮気の話が出たあとだった。
岸優太
岸優太
俺さ、浮気とかしないよ。
真顔で私を見て、そう言った。
岸優太
岸優太
悲しくなるようなこと、しない、
不安にさせることもしないから。

俺の彼女になって欲しい。
俺といて、楽しいと思ってくれるなら、
思いきって俺たち付き合ってみない?
まっすぐ私を見てた視線をテーブルに落として、何か耐えるみたいに言った。

そしてため息。
岸優太
岸優太
違うな。
順番が違うな。


あのね…
岸優太
岸優太
俺、まあまあ初めの頃から
あなたちゃんが好き。
目の前がチカチカした。

恥ずかしいのか緊張なのかを
堪えてるような岸さんの表情がまた、
初めて見る男の人みたい。
あなた

……私も、岸さん好きです

グラスをつかんでた私の手を、岸さんの手がつつむ。
わ、暖か……
岸優太
岸優太
うわ、マジで?
ほんと??
良かった!!

うわ、良かった!!
先走ったかと思った!
岸さんのびっくりした顔になぜだか笑ってしまう。
私こそ片思いだと自分に言い聞かせてたのに。
岸優太
岸優太
二人の時、下の名前で呼んでもいい?
きれいな名前だなって、ずっと呼びたかった。
あなた

はい。
これから、よろしくお願いします。

岸優太
岸優太
あなた、あなたちゃん。
ふっふふ、やべー照れる。
改めて、私の手をにぎり直す。
繋いだ手を愛しそうに見つめてる。
岸優太
岸優太
ありがとう。
すげえ嬉しい。

…本当、大切にするから。
仲良くしてこう?
私たちは彼と彼女になった。

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