第2話

2.男の子
2
2024/06/28 09:17
桜が咲いていることから今は春なんだろう。
優しい風を受けながら、もう少し外を見たく、身を乗り出した。
コンコン
ドアがノックされた。誰だろう。私はそう思ったが、無視をした。
???
失礼しま…
ガシャン
ドアが開かれ、まだ若そうな男の子の声が聞こえたと思ったら、次は何かが割れる音。
あなた
振り返ると、そこには短い黒髪の少年が立っていた。
???
な、なにをしてるんですか?
あなた
……?
私に怯えてる? いや、違う。
???
動かないでくださいね。
あなた
はい。
ゆっくりと彼は近付いてきた。なんなんだ。
目の前まで来て、私の方に行き場の無い手を伸ばしこう言った。
???
し、死ぬのは辞めましょう、ね?
???
大丈夫。そこに座って下さい。
その手は震えているように見えた。
あなた
窓際に立っていただけで自殺と勘違い?
もしかして、私、自殺したの…?
あなた
いや、勘違いです。
???
え?
あなた
景色を見て、風に当たってただけなんです
???
よ、良かったです
あなた
なんか、心配掛けちゃって済みません
???
あなたの下の名前さん。体調はどうですか?
名前……知り合いだったんだ。個室にいる私に会いに来たんだしそりゃそうか。
あなた
一ヶ月……
???
はい、尊斗みことさんも心配してましたよ
尊斗……知り合いかな?
ベットに腰掛ける。私と知り合いって事は原因だったり……するのかな。
あなた
あの、
???
さっきから如何したんですか? 僕に敬語を使うなんて、
いつもは使って無かったんだ…
あなた
誰ですか?
???
え、
あなた
貴方も、尊斗さんって方も。
???
分からないんですか?
あなた
ええ、
彼は目を少し開き、驚いているようだった。
???
そんな……
あなた
仲、良かったんですか?
???
え、っと
え、仲良いわけじゃ無いの?
あなた
んーっと、名前は?
???
は、早瀬です。早瀬奏斗で、貴方の後輩です。
あなた
私って、高校生なの?
???
いえ、十九歳ですが、もう働いてます。
あなた
その後輩ってことは、君も働いてるってこと?
???
はい、うちは特殊な職場なんですよ
あなた
そう
そんな話をしている間に、あることに気づいた。
【早瀬奏斗】
好感度19
異能 創造世界
と、彼の頭上に表示されているのを。

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