桜が咲いていることから今は春なんだろう。
優しい風を受けながら、もう少し外を見たく、身を乗り出した。
コンコン
ドアがノックされた。誰だろう。私はそう思ったが、無視をした。
ガシャン
ドアが開かれ、まだ若そうな男の子の声が聞こえたと思ったら、次は何かが割れる音。
振り返ると、そこには短い黒髪の少年が立っていた。
私に怯えてる? いや、違う。
ゆっくりと彼は近付いてきた。なんなんだ。
目の前まで来て、私の方に行き場の無い手を伸ばしこう言った。
その手は震えているように見えた。
窓際に立っていただけで自殺と勘違い?
もしかして、私、自殺したの…?
名前……知り合いだったんだ。個室にいる私に会いに来たんだしそりゃそうか。
尊斗……知り合いかな?
ベットに腰掛ける。私と知り合いって事は原因だったり……するのかな。
いつもは使って無かったんだ…
彼は目を少し開き、驚いているようだった。
え、仲良いわけじゃ無いの?
そんな話をしている間に、あることに気づいた。
【早瀬奏斗】
好感度19
異能 創造世界
と、彼の頭上に表示されているのを。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。