(ユウマ視点)
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最近、フウマくんの「お疲れ」が少し早口になった気がする。
メッセージの返事も、前より短くなった。
『今日も頑張ってきたよ』
『えらい。ゆっくり休んでね』
たったそれだけのやりとりで終わる夜。
スマホの画面を閉じて、ベッドに転がりながらため息をつく。
(忙しいのはわかってる。でも、“声が聞きたい”って言ったら、重いのかな。)
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それでも、どうしても我慢できない夜があった。
“ほんの少しでも会いたい”
そんな気持ちが、小さく弾けた。
『今日、少しだけ会えませんか?無理なら大丈夫です。』
そう送ってからすぐに後悔した。
“無理なら”って書いたのは、本当は“どうしても会いたい”の隠れた形。
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夜になって、返信がきた。
『終わった。今から行ける。』
その一文を見て胸がきゅっと締めつけられた。
「……ほんとに来てくれるんだ。」
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カフェの灯りの下。
フウマくんはいつもより少し疲れた顔で、それでも笑っていた。
「ごめん、遅くなった。間に合ってよかった。」
「無理して来たんじゃないですか?」
「ユウマが“会いたい”って言うの、初めてだったから。」
「……言わない方がよかったかな。」
「そんなことないよ。会えて嬉しい。」
その嬉しいが本音でもどこかに無理してる響きがあって、どうしても胸が痛んだ。
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「仕事、どうですか?」
「うん、ありがたいけど忙しい。」
「体、大丈夫ですか?」
「平気。……ユウマのほうこそ、最近寝てる?」
「寝てます。」
「ほんとに?」
「……半分くらい。」
フウマくんが小さく笑って、テーブルの上で俺の指に触れた。
「こうやってるだけで、落ち着く。」
「俺もです。」
言葉の温度が一瞬だけ同じになった気がした。
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それでも会うたびにフウマくんの笑顔が少しずつ疲れていった。
「次は、いつ会える?」
「うーん……来週、スケジュール次第かな。」
「……そっか。」
「ごめんね。」
「謝らないでください。頑張ってるの知ってるから。」
そう言いながら笑って、本当は泣きたくなった。
(我慢してるつもりなのに、
きっと、またフウマくんに心配かけてる。)
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その夜、スマホを握ったまま小さく呟いた。
「……どうして好きなだけなのに、苦しくなるんだろう。」











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。