第1話「いつもの今日が、愛おしい」
ライブから数日後。
いつもの朝。
けれど、ほんの少しだけ違うのは──隣にいる彼の歩幅と、呼吸が、やけに心地いいってこと。
建物の影に差しかかるその瞬間、ぴたりと足を止めたのは、ハルトだった。
私は隣で笑いながら振り返る。
その言葉に、思わずりおは立ち止まった。
でも次の瞬間──
背後から大きな声が飛んできた。
振り返ると、両手を広げてニヤニヤしてるジフンの姿。
2人が同時に突っ込むと、ジフンは「ハイ、息ぴったり〜!」と拍手して去っていく。
私は恥ずかしさを噛み締めながら、そっとハルトをチラ見。
──だけど彼は、いつもの無表情の中に、少しだけ笑みを忍ばせていた。
スタジオ到着。
今日はYouTube撮影の打ち合わせと、次の収録に向けた準備日。
私がメイク室で準備をしていると、ヨシがふらっと現れた。
2人で笑い合ったそのとき──スタッフが機材の確認で呼びにくる。
ハルトとジフンも合流し、控室は一気ににぎやかに。
そんなやりとりの中、ふとハルトがぼそっと言う。
そのひとことに、あなたの胸が不意に高鳴る。
声に出すことはできなかったけど、私はうなずいた。
その夜。
自室で作業中の私は、メモ帳を開く。
さっきのハルトの言葉が、何度もリフレインしていた。
何かを書き留めたくて、言葉にならない想いを、ただ音のかけらとして重ねていく。
すると──
📩「ヨシ:さっきのやつ、曲にしてみる?」
スマホに届いたそのメッセージを見て、私は一呼吸置いてから打ち込んだ。
📩「……やってみたいかも」
画面の向こう、どんな未来が待ってるかは分からないけど。
今、ひとつだけ確かなのは──
“いつもの今日”が、すごく愛おしいってこと。
【To be continued…】
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!