夏祭りまで、あと一週間。
Paletteの中はかなり忙しくなっていた。
毎日わちゃわちゃ。
そんな中。
チェリョンは、前より自然にそこにいた。
ソファの端じゃなくて、みんなの近くに座るようになった。
笑う回数も少し増えた。
でも。
まだ完全に安心しているわけじゃない。
ふとした瞬間に、「迷惑じゃないかな」って考えてしまう。
その日。
バンチャンは、キッチンで段ボールをまとめていた。
すると。
リビングから声が聞こえる。
どうやら、夏祭りの買い出し組を決めているらしい。
チェリョンは困った顔をしていた。
外、人混み、ちゃんとできるかな、迷惑かけないかな。
頭の中で、不安が一気に増えていく。
すると。
ぶっきらぼうな声。
でも。
逃げ道を作ってくれる言い方だった。
少し沈黙して。
小さい声。
でも、ちゃんと自分で決めた。
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商店街。
夏祭り前だからか、人が多い。
ニナは走り回るし、
ハンは余計な物をカゴに入れる。
いつも通り騒がしい。
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でも、途中でチェリョンの足が止まった。
制服姿の学生たち。
笑い声。
すれ違うだけなのに、胸がざわつく。
息が浅くなる。
その時。
隣に来る。
普通の声。特別扱いしない。
でも、ちゃんと気づいてる。
袋を受け取る。
少し重い。
でも、その重さのおかげで呼吸が戻ってくる。
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帰り道。
夕焼け。
みんな疲れて静かだった。
ニナだけは、まだ元気だけど。
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Paletteの前に着く。
みんなが荷物を持ち始める。
その流れの中で。
チェリョンは、少しだけ立ち止まった。
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今までは。
帰る時、なんて言えばいいか分からなかった。
「さようなら」も、なんだか距離がある気がして。
でも今日は。
ぽつり。
小さい声。
リビングが一瞬静かになる。
一気に騒がしくなる。
チェリョンは、少しだけ目を丸くしたあと。
困ったみたいに笑った。
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その様子を見ながら。
バンチャンは、玄関で静かに笑う。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!