__この世界は、神がお創りになったものである。
地球は宇宙の中心にあり、太陽その他の天体は、地球の周りを回っている。
天文学者プトレマイオスは、これを『天動説』と名付けた。
日が暮れてきた頃。
年端も行かないような少女が読んだ書物は、そんな一文から始まった。
少女__ヨレンタは、首を傾げて文字を追う。
そして、思った。
「この大きな大きな宇宙が、一つの説で、簡単に説明できてしまうなんて」と。
ヨレンタが、天文に興味を持ったきっかけだった。
手元にある砂時計を見やると、もう砂が落ちきりそうになっている。
ヨレンタは本をぱたんと閉じて、椅子を引いた。
嬉々とした表情でそう呟くと、小走りで部屋を出る。
そして、玄関の前でしばらく突っ立っていた。
『ガタン』という音とともに、玄関の扉がゆっくりと開く。
ぶつぶつと呟きながら姿を現したのは、ヨレンタの父、ノヴァクだった。
父親の帰りを待ちわびていたヨレンタは、ぱぁっと顔を輝かせる。
ヨレンタの存在に気がついたらしいノヴァクは、目を丸くして、それから、優しい笑顔で答えた。
ノヴァクは自身の服の袖についた血を隠しながら、愛しい娘に問いかけた。
ヨレンタはノヴァクの手を引いて、彼に書物を見せに行く。
__とても、幸せだった。
二人とも、こんな幸せな生活が、ずっとずっと、続いて行くと思っていた。
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夜空が、本当に綺麗な夜。
10年前のことを思い出したヨレンタは、涙をかみしめた。
彼女は必死に、自分に言い聞かせる。
馬の手綱を力いっぱい引いて、とにかく走る。
__だから私は、神と真理のためなら退きたくない。
才能も発展も人生も、いざって時に退いたら終わりだ。
かつての上司から教わり、自身が父に言った言葉を思い出す。
__そうだ。退いてはいけない。
【お願い】
これから何度かイラストを投稿するつもりですが、無断転載などはしないでください。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。